●じっくりと3冊●『福沢諭吉集』【近代日本思想大系】・『山口二矢烈士供述調書』・『鹿鳴館』
2008年10月25日 00:15:22
雨か。池波正太郎を取り出す。時代小説を読みたいと思った。
けれども読まなかった。
傘を差して、出かけた。
めんどくさいことが多すぎる。
しかし処理しないことには仕方ないこと。
もう・・・、とぶつぶつ。
体に仕掛けられた目覚まし時計がなったら、
いつ鳴るか、いつ鳴るか・・・
この体に仕掛けられている時限装置が、見える。
『福沢諭吉集』【近代日本思想大系】編集・解説/石田雄
『山口二矢烈士供述調書』
『鹿鳴館』三島由紀夫
先日、鈴木さんから送られてきた書籍の中に三島『鹿鳴館』があった。
もちろん何度も読んでいる。だから、特に気にもせずに、いた。
病院通いが続いた今週になって、
いや、脚本のラストシーン書き上げたからか、
机にのせてあった『鹿鳴館』が、気になった。そして今日、あらためて読んだ。
これまでに気付かなかった美学に愕然とした。
第一幕からの美しい会話の数々。
特に大徳寺公爵夫人季子とその娘顕子、影山伯爵夫人朝子の会話。
こりゃ自分には書けない・・・
脱帽絶望、そんな次元じゃない。
努力して書けるとか、勉強すればいつかは、とかそんなレベルじゃない。
これこそが、言葉の煌びやかであり、
これこそが、戯曲文学であり、三島由紀夫という才能であり、
個人が獲得した最高程度の言葉の数々。
自分には、この獲得はないだろう。
もっと別の獲得がある気がする。
「あれは、騒がしい月だったわ」
季子の一言。
この一言に描かれる完全な風景と時間経過。
この『鹿鳴館』をテキストに稽古をするのもいいのかも、と思ったり。
あるいは、上演をしてみるか。
三島『鹿鳴館』を劇団再生ロリータメタル『鹿鳴館』に。
それも、ホーム阿佐ヶ谷ロフト。あの小さな空間に「騒がしい月」を表現できるか。
一発の銃弾を表現できるか。
三島悲劇を劇団再生悲劇が表現できるか、雨だ。
今日も雨。
『テロルの決算 (文春文庫 (209‐4))』という名作がある。
社会党委員長とテロリストの一瞬の交錯。
ちりばめられているテロリストの言葉と行動。
花房東洋氏に頂いた書が、ここにある。『山口二矢烈士供述調書』
テロリストの一生が一瞬が、ある。
17歳の一瞬が、17歳の煌びやかが。
長く生き過ぎた。そう思ってしまう。
もう41歳か。長すぎた。
長すぎたけれども、いろんな命を見てきたな、と思う。
生きた命、死んだ命。
生かした命、殺した命。いろんな命を見てきたな。
それが、
今の感情なのかもしれない。
そして、この年になってようやく出会えた本も多い。
福沢諭吉をきちんと読もうなんてこれまで思っても見なかった。
次の巻の『中江兆民』を読もうなんて思いもしなかった。
生きていれば本は読める。
そうは思う。
けれど、まあ、それだけだ。
命のあり方を見たいだけだし、命のあり方を生きたいだけなんだけどな。
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丁丑公論
学問之独立
痩我慢の説
福沢全集緒言
福翁自伝
論説・書簡
「福沢に於ける『実学』の転回」丸山真男
「解説」石田雄
年譜・参考文献