●2892●『世界教養全集29』『世界教養全集31』『阿佐田哲也の麻雀秘伝帳』『阿佐田哲也麻雀小説自選集』『これがオレの麻雀』『三島由紀夫FOR BEGINNERS』『戦後政治家暴言録』
2009年4月20日 21:51:22
段ボール箱が届いた。
見沢ママから段ボール箱が届くと、不思議な感傷が起こる。
『段ボール、三箱。
そこに、母の十二年の歴史が詰まっている。
監獄の十二年、母は一日おきに手紙をよこした。
その手紙が積もり積もって段ボールに三箱。』
届いた段ボール箱に入っていたのは、もちろん、12年間の、手紙では、ない。
中にはたくさんのお菓子と見沢さんが読んでいた本と、
そして、8月の公演のためにお願いしていたものが入っていた。
昨日、電話があった。「荷物を送りますよ」と。
「そんなものでいいのかしら?」
と見沢ママ。
見沢ママの言う「そんなもの」。ぼくが待ちに待ったものだ。
段ボール箱を開けると一番上にそれは、あった。
届いたお菓子を食べながら、見沢さんが読んでいた本を開いた。
見沢さんが引いたのだろう。
鉛筆であちこちに傍線が引いてある。
書き込みもある。あるが、見沢さん独特の字で、判読できない。
何かを書くための資料にしたものか、傍線に一定の法則がある。
別の一冊を開く。
見沢さんの本を開く時には、必ず確認するのだが、
88ページを開く。
獄中から、見沢さんは「暗号」と母に一行の伝言を書籍に書き込んだ。
そして、手紙に「やや読んだか」と。「やや」は「88ページ」のことだ。
88ページを開いた中心に薄く小さな文字で「暗号」メッセージを書き込んだ。
88ページ。あった。この本にもあった。
見沢さんは、千葉刑務所に服役中の12年間で5000冊を読んだ。
年間400冊以上だ。凄い。凄い読書量だ。
そして、やっぱり、思う。あと何冊読めるのだろう。
今開いているこの一冊が、最後の一冊かもしれない。
今月に入って、何ページ読んだのか。
月末には、もちろん集計するのだけれども、読んでいる今はそんなことは思わない。
ただ、
読む。
こないだの公演を終えて、確かに読んでばかりいる印象だ。
ひっくり返って本を読んでいる。ただ、
読んでいる。
最後の一冊かもしれない、そう思いながら、次の一冊を開く。
見沢さんは獄中でどんな思いで本を読んでいたのだろう。
『世界教養全集29』(480)
・「百万人の科学概論」著/J.L.シング_訳/市井三郎
・「科学と実験の歴史」著/F.S.テイラー_訳/平田寛・稲沼瑞穂
・「物とは何か」著/W.ブラッグ_訳/三宅泰雄
・「自然現象と奇跡」著/V.A.メゼンツェフ_訳/藤川健治
『世界教養全集31』(524)
・「神秘な宇宙」著/J.H.ジーンズ_訳/鈴木敬信
・「地球の起源」著/W.M.スマート_訳/中山茂
・「百万人の原子学」著/M.L.アイディノフ・H.ラクリス_訳/金関義則・吉沢孫兵衛
『阿佐田哲也の麻雀秘伝帳』阿佐田哲也(236)
『阿佐田哲也麻雀小説自選集』阿佐田哲也(734)
『これがオレの麻雀』阿佐田哲也(507)
『三島由紀夫FOR BEGINNERS』吉田和明(174)【見沢文庫】
『戦後政治家暴言録』保阪正康(237)【見沢文庫】
あと4ヶ月か。あっという間だ。
脚本を書き始めなければならない。そんな時期だ。
自分には珍しく、プロットを作った。
普段、プロットを書くことはない。
頭の中で全て考えつくし、台詞を覚えつくしてから、書き始める。
混乱しているわけでは全然ない。
じゃあ、なんでプロットを書いたんだろう。
うずうずしてるからだ。
脚本を書きたくて仕方ない。
でも、どこからか、
待て!
と、声が聞こえる。
誰の声か、どこからの声か。それに従ってみる。
従ってみているけれども、わくわくうずうず。
だから、ちょっと書いてみた。プロットを書いてみた。
プレイヤに『冬の華』を入れた。
健さんを見たくなった。あの一曲を聴きたくなった。