●800●『睥睨するヘーゲル』『帰ってきたソクラテス』『戦後短篇小説再発見〈9〉政治と革命』

2009年5月18日 23:32:31



大好きな3冊を読み返した。
外出先で読むのに、『世界の名著』は重過ぎる。
鞄にいれていたけれども、外出先で手にしたのは、これらの文庫本。

ぼくを自分でも驚くほど変えた一冊『睥睨するヘーゲル』
そして、自分の変化を確認させてくれた『帰ってきたソクラテス』
沈思することを覚えた『戦後小説・政治と革命』
鞄の中には、『世界の名著 プルードン バクーニン クロポトキン』

それにしてもだ、戦闘態勢が解かれない。
脚本を書くことをやめた、と宣言したからなのか、
作品を創ることと、舞台を完成させることのあまりに深い溝を見たからか、
作劇と演劇の巨大な反転が脳髄を回ったからか。

「ぼくが話しているのは、作品の話ではない。演劇の話をしているんだ!」と
切った啖呵は、自分にこうして戻ってきている。
嬉しいことだ。ありがたいことだ。良かった。ここで正視できてよかった。
あやうく手遅れになるところだった。

もう脚本は、書かない。
演劇を書く。

すっ、と、何もかもが、落ち着いた。

落ち着いたけれども、なぜか完全な戦闘態勢。武装解除など怖くてできない。
完全武装、匍匐前進。
こんな感覚に慣れていないだけかもしれない。
演劇を書くという作業は、この完全武装こそが常態なのかもしれない。

『睥睨するヘーゲル』池田晶子

(221)

『帰ってきたソクラテス』池田晶子

(293)

『戦後短篇小説再発見〈9〉政治と革命』編/講談社文芸文庫)

(286)