●638●『マキアヴェリ』【世界の名著16】
2009年5月29日 22:59:03
『名探偵コナン』を観たくて、
オフィシャルサイトをお気に入りに登録している。
黒ずくめの男たちが夢に出てくるくらい、観たい。
夢の中で彼らは、『高木さん、地球は丸くないんですよ』と、ていねいな言葉で言った。
黒ずくめの男たちは、目的を達成するためにいろいろな手を使う。
手段を選ばずに、「彼らの目的」を遂げようとする。
と、あえて下手な書き出しを採用してみた。
マキャヴェリの本を読んだ、という記事でこんな書き出しを、普段はしない。
下手すぎる。一本脚本を書き終えて気が緩んだか。
『雨の起源〜天皇ごっこ〜』の稽古が始まった。
いつもより劇団員が少ない稽古場。
マキャベリズムと言われる。
少しの悪意とさげすみと軽い嘲笑とともに口に出されることが多い。
自分もこれまでそうだった。
チェーザレ・ボルジア、カトリーヌ・ド・メディシス、レーニン、
マキャヴェリストと呼ばれる人はたくさんいる。日本の企業家にも政治家にもいる。
劇団を主宰している人の中にもいるし、芸術団体の偉い人の中にも、いる。
左右の政治団体の中にもいるだろうし、教育現場にもいる。
「目的のためには、手段を選ばない」「目的が手段を正当化する」と考える人たち。
「君主論」を初めて読んだのは、高校生の時だ。岩波だったと思う。
バンドをやっていた当時、4人のメンバーを統率するために、
そして、他のバンドと共闘するための考え方として、「君主論」各章を参考にした。
けれども、いわゆる「マキャヴェリズム」を感じはしなかったように思う。
ニッコロ・マキャヴェリ。イタリアの思想家だ。
20年も「マキャヴェリズム」という言葉を簡単に使ってきた。
あらためて「君主論」「政略論」を読んだ。
言われるような「目的上位主義」などどこにも書いてはいない。
「手段」を「手段化」とする思想など、どこにもない。
ただ、現今言われる「マキャヴェリズム」がなぜ生まれたのか、というのは、わかる。
本の読み方を知らない似非インテリゲンチャが言い出したのか、
或いは、輸入された「マキャヴェリ解釈」を似非文化人あたりが喧伝したのか、
あほらしい。
マキャヴェリという名前にも一因があるのかもしれない。いかめしい。
ニッコロ君、と呼べばいい。印象が違う。印象は大切だ。
ニッコロ君なら、「目的のためには手段を選ばないぞ!」と言っても信憑性はないし、
誤解される恐れもない気がする。
『雨の起源〜天皇ごっこ〜』の稽古が始まった。
この企画の話を頂いたときに一瞬にフラッシュしたイメージを創り上げられるか。
『マキアヴェリ』【世界の名著16】
(638)
責任編集/会田雄次
『雨の起源〜天皇ごっこ〜』の稽古が始まった。
原稿用紙28枚。一気に書いた作品。久しぶりに形式としての「脚本」らしい「脚本」。
書きながら、形式が決まっているのは、楽だな、簡単だな、楽勝だな、と思った。
稽古場では、本読みからスタート。
いつもながら、書くべきことは全部書いた。
その補足説明をしながら、本読み。
田中惠子と宮永歩実が先日、会場に潜入し情報を集めてきていた。
その手書きの図面と照明配置を見ながら、稽古にはいる。
稽古場に本番どおりの大きさの舞台をマークする。
オープニングだ。
一曲目の音楽をかける。
『雨の起源〜天皇ごっこ〜』の稽古が始まった。
あと2週間。
あの日、一瞬に頭の中に完成した舞台が劇団員の手によって創り上げられるだろう。
『マキアヴェリ』【世界の名著16】
「マキアヴェリの生涯と思想」会田雄次
マキアヴェリ
「君主論」訳/池田廉
「政略論「訳/永井三明