●693●『石の来歴』『実録 柳川組の戦闘』『白痴』

2009年10月4日 22:25:13



10月4日。四日間で4200ページを読んだ。読みすぎだ。
最近読んだ、
『石の来歴』『実録 柳川組の戦闘』『管制塔に赤旗が翻った日』
『青木雄二のナニワ資本論』なんかは、見沢さんが遺した本だ。

見沢さんはたくさんの本を遺していった。
遺された本を将来的にどうするのか、そんなことは全然わからない。
わからないけれど、一冊ずつ整理する。
データベースに本の詳細を入力し、分類、整理している。

その作業は、劇団員宮永歩実が隊長となり、宮永宅を本部に進められている。
劇団員が交代で本部に行き、一冊ずつ手に取り、確認し、データベースに入力。
手間のかかる作業だ。けれどもいつか、これらのデータが生きる日が来る。
見沢知廉DBには、書籍のほか、手紙類、雑文、未発表原稿、写真なんかも入力されていくだろう。

本部宮永宅に段ボールに詰められた見沢資料を運び込む。
そこでひもとき見ていく。
(見沢さんは、こんな本を読んでいたのか)
(人に自分が所有する本を見られるのは、いささか恥ずかしいものがあるな)
(ぼくが死ぬときには、蔵書はどうにかしよう)
(全集・純文・ノンフィクション・理工・科学・宗教・芸術あたりは、まあいいか)
(見られるとやっぱり恥ずかしいのも、あるといえばあるなあ)
そんなことを思いながら、見沢さんが遺した本を開く。

読みたい本があれば持ち帰り、読む。
今日も一日、ほぼ一日中本を読んでいた。
四日で4000ページも読んでいたか。実感はないけれど、事実そうなんだろう。
並読している全集は、『世界教養全集』と世界の名著『諸子百家』。
本部宮永宅から持ち帰った見沢さんの本は、
『パリ・コミューン』『世界をゆるがした十日間』『日本の戦乱・事変・騒動』の三冊。
これらもすぐに読み終えるだろう。

今日も一日本を読み、ただ本を読み、ノルマなんか知ったことか、と本を読み、
楽しくて楽しくて嬉しくて嬉しくただ言葉を貪り続ける。

一つの単語は、言葉になることも、ある。
一つの単語が、言葉にならなければならないことも、ある。
言葉は、その言葉以上の言葉になることもあれば、単語に縮小することもある。
言葉が、その言葉以上の絵画になることもあれば、言葉に甘んじることもある。

一日本を読み、空を見た。
動脈と静脈が走る自分の首に手をやり、空を見た。
いつついたのか首の傷に手を触れ、空を見た。
空を見て、本を読んだ。

先人の遺した言葉を貪る。
貪りながら首に手をやる。

空だ。
言葉の空。
今日も言葉を呼吸器に詰まらせて、空。

『石の来歴』奥泉光

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『実録 柳川組の戦闘』飯干晃一

(218)

『白痴』坂口安吾

(253)