●867●10月/11218●『鈴木大拙集』【近代日本思想大系12】『2・26事件の原点』『阿佐田哲也の麻雀秘伝帳』
2009年11月1日 01:12:58
「あなたはたったひとりで形而上。何を持っていきますか?」
あの日、ぼくは、形而下ハンターになった。
形而下の事ごとくを狩りつくし、形而下を焼き払い、形而下を殲滅する。
形而下のことごとくを喰いつくし、待ってろ、と、形而上に攻め込む。
だが、形而下あっての形而上。
形而下を殲滅し尽くしたら、形而上は同時に存在をなくしているかもしれない。
それでも、形而下に白刃を抜く。
その白刃は、劇団再生革命論。。
そして、盲目の荒野に立つ存在論だ。
片手に劇団再生革命論を握り締め命を失う。
その革命論は、世界一短い、たった一行の革命論だ。
劇団再生の劇団員は、その一行を事も無げに、言い放つ。
「あなたはたったひとりで形而上。何を持っていきますか?」
長く生き過ぎた。そう思う。42歳か。長すぎた。
いろんな命を見てきた。生きた命、死んだ命。生かした命、殺した命。
いろんな命を見てきた。
今、
ぼくが書いた脚本に、劇団員の命が在ろうとしている。
命のない演劇には、まったく何にもない。
命が必要なんだ、と言い続け、11月12日は、本番。
理解者が欲しい、と脚本を書き続けてきた。
真の読者を一人、と脚本を書き続けてきた。
形而上に何を持っていくか。
さて、何だろう。
無人島に、という設問なら答えははっきりしている。
形而上に、か。さて、何だ。いろいろと思いつくが、さてどうするか。
『鈴木大拙集』【近代日本思想大系12】
(400)
『2・26事件の原点』芦沢紀之
(231)
『阿佐田哲也の麻雀秘伝帳』阿佐田哲也
(236)
レーニン以上のロマンチストに。
プレハノフ以上のリアリストに。
と、生きている。
「あなたはたったひとりで形而上。何を持っていきますか?」と劇団員に聞いている。
毎回毎回、そう聞いている。
劇団員は、それに対する答えを常に、そう、常に用意している。
稽古場でその答えを用意している。
一本の脚本を書いた。
11月12日に上演される。約束された日に上演されるだろう。
一本の脚本を書いた。
稽古場でその稽古が繰り返されている。
いつもの稽古場で彼らを見る。彼らの全人生を透かし見、稽古場で彼らを見る。
歯を食いしばって生きているだろう。
押し潰されそうな不安に全身に汗をかき飛び起きる朝をするだろう。
朝も昼も夜もわからない恐怖に閉じた目の奥で眼球だけが夜の月を見据える夜をするだろう。
そして、目覚めてしまう明日を恐れて横になる夜もするだろう。
だが、稽古場に来る限りは生きている。
どんな朝も、どんな夜も、どんな今も、楽にいくわけがない。
演劇に関わる限り、そんな日があるはずがない。食いしばった奥歯がぼろぼろになる。
劇団再生の稽古場がある限り、朝日まぶしい爽やかな朝をすることはない。
劇団再生が上演を約束する限り、慈愛に満ちた月をできるはずがない。
劇団員に残された夜は、偉大な夜だ。
そして、再生の朝があるだけだ。
「あなたはたったひとりで形而上。何を持っていきますか?」
答えなきゃいけないか。
「唐獅子牡丹」を歌いながら、稽古場からの帰り道、長ドスを振り回す。
親にもらった 大事な肌を
墨で汚して 白刃の下で
積もり重ねた 不孝の数を
なんと詫びよか オフクロに
背中で泣いてる 唐獅子牡丹
「あなたはたったひとりで形而上。何を持っていきますか?」
いくつかの、ぼくだけの言葉。それだけを持っていくだろう。
いくつかの、ぼくが見つけた言葉。それだけを持っていくだろう。
対外的に、そう答えておく。
10月もノルマを達成。あまり苦労せずノルマを達成できた。
普通の読み方をして、このくらいを読める。
さて、来年の読書ノルマはどうするかな。
『鈴木大拙集』【近代日本思想大系12】
(400)
編集・解説/古田紹欽
禅への道
金剛経の禅
わが浄土観
妙好人
文化と宗教 抄
・時の流れ・生命と意識・知性の鏡・東洋的なるもの・教育と歴史的継続性
・基教と仏教との象徴的一方面・「物」の復讐と「人」・近代文化の欠陥について
・農業の宗教と工業の宗教・自然と人間・人間の業苦・生死に生きる・慈力と悲仰
・他を動かすもの・「おかげさま」、「勿体ない」
貧乏論
「我々の思想史における大拙博士の位置」下村寅太郎
解説/古田紹欽
年譜
参考文献