鈴木邦男・新刊『新・言論の覚悟』
2011年7月5日 18:58:58
鈴木さんから、本が届いた。新刊だ。『創』の連載がまとめられた本だ。
真新しい本の感触を手に楽しんだ。ゆっくりと、そして一気に読み終えた。
表紙は、鈴木さんが、居る。大きな写真だ。その写真の目と、ぼくの目が合う。
なんとも言えない表情をしている。鈴木さんは、
笑っているのか、怒っているのか、悲しんでいるのか、諦めているのか、
なんとも言えない、顔だ。
帯には、田原総一朗氏の言葉。
「右翼というよりアナーキスト。鈴木邦男は、いま最も過激で面白い人物だ!」
本書は、雑誌『創』に連載されていたものを、編集し直したものだ。
編集は、椎野礼仁さんと高橋あづささん。いつもの編集コンビだ。
読み終えて、感じた。「とてもいい編集だ」と。前作の編集も素晴らしかった。
鈴木さんにそう言うと、「ぼくが書いたのに・・・」と言うが、編集の力の素晴らしさは隠しようもない。
もちろん、本文に力があるから、編集が生きる。
鈴木さんの筆致に力があるから、編集が冴える。
すぐに鈴木さんに感想を送った。思ったままを書いて送った。
ぼくの感想を鈴木さんが読んで、どう思ったかは、わからない。
アマゾンには、こう紹介されている。
「靖国」「ザ・コーヴ」など右翼団体の抗議行動で映画の上映が中止になる事件が相次いだ時、
「映画を見もしないで中止せよとはおかしい」と、右翼の隊列に向かっていったのが鈴木邦男さんだった。
めんどうを恐れて大手マスコミが正面から取り上げようとしない言論表現をめぐる対立に、
敢えて火中の栗を拾うように関わっていく鈴木さんは、いまや新右翼というよりアナーキストだ。
本書は、その鈴木さんが「言論をめぐる覚悟」を示した様々な体験をつづったもの。
「言論の自由」を巡っての右翼団体との激論や、田原総一朗さんとの対談なども収録。
そして、鈴木さんについてはこう書かれている。
1943年福島県郡山市生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒。
学生時代は「生長の家」学生会全国総連合に所属し書記長として活躍した後、
全国学協の初代委員長に就任。
その後、産経新聞社に勤務。
1972年に新右翼団体「一水会」結成。
1999年に一水会代表を辞し、顧問に。
政治活動家のほか、プロレス評論家、予備校講師。
合気道三段。柔道三段。
主な著書に『腹腹時計と〈狼〉』(三一新書)『言論の覚悟』(創出版)
『公安警察の手口』(ちくま新書)『右翼は言論の敵か』(ちくま新書)『遺魂』(無双舎)など多数。
多くの著作を世に問うてきた鈴木さん。
日本全国、あちこちに出没する鈴木さん。
満足、という概念から一番遠い場所にいる鈴木さん。
鈴木さんの隠れた名作が、今も連載されている。
『月刊TIMES』だ。
書店では、なぜか、なかなか手に入らない雑誌だけれども、
とてもいい記事が連載されている。
問題意識の高い月刊誌。鈴木さんも、そこで、高い筆致をふるっている。