『業柱抱き』車谷長吉
2006年12月1日 20:13:17
休憩中。
一服いれようと
外の空気を。
やはり、煙草は、おいしい。
力強い煙は、男だ。
『業柱抱き』
車谷長吉
以前にも紹介したことのある作家ですね。
車谷長吉。
この平成の世にたった一人の私小説家です。
初めて彼の文章に触れた衝撃を今でも、衝撃として思い出します。
「虚言癖が禍いして、私小説書きになってしまった。
「言葉」が「はなし」を捏造するのだ。
だが、「はなし」に騙られて虚実皮膜の間にただようているのが、
そもそも「現実」というものではないのか?
魚など一尾もとれる筈のない風呂桶にむかい、
あくまでも正気で釣糸を垂れ続けるかのような、
深い自己矛盾。
その底にひそむ生霊をあばき出す、
業さらしな
「言葉」の痛苦、怖れ、愉楽…。」
そう、言葉の痛苦。
言葉の恐れ。
言葉の愉楽。
言葉が自身紡ぎだす、自己矛盾のおはなし・・・
今、本書を紹介しようと
アマゾンを覗いてみました。
品切れか・・・
それは、売れすぎて売れすぎて、の、品切れじゃなく、
(この国の出版事情でそのようなことは、まずありません)
発行部数が少なく、
重版されていないということです。
(売れていないということ・・・)
そのうち、絶版ということになるかもしれません。
多すぎます、そのように、読めなくなる良書が!
この本は、数十年を楽に生き抜き、
百年を一跨ぎにする、文化です。
ああ、ほんとうに淋しいことです。
みんな、買おうよ!
いい本を。
みんな、買おうよ!
贅沢を。
手に入れるべきものは、贅沢です!