『性的人間』 大江健三郎

2006年4月20日 21:50:08

やってきました。
ノーベル文学賞作家!ということで、
ノーベル文学賞週間です!!!
(・・・そうなるかもしれないし
ならないかもしれないし・・・・)

さて、一人目の登場。
日本からですね。

『性的人間』
大江健三郎

オーケンです。
この作品も何度も読んで来たわけですが、
ん、時代、
ということを考えます。

この一冊には、3篇の作品が収録されています。

『セヴンティーン』
—性に耽溺し、政治に陶酔する
右翼少年の肖像—

『性的人間』
—痴漢をテーマに”厳粛な綱渡り”という
嵐のような詩を書こうとする
少年と青年Jを主人公に、
男色、乱交など
あらゆる反社会的な性を描き、
人間存続の真実に迫る問題作—

『共同生活』
—現代社会の恐るべき孤独感を描いた—

という3編。

さて、自分がよく言ったり、書いたりする文章に、

『ああ、時代が書かせた』・・・

本作品も、あの時代が書かせた作品の一つです。
時代が包含するエネルギが
一人の人間に指令して、
言葉が生まれる、そんな作品です。
多くの作家は、
自分もそうだと、勘違いしています。
では、勘違いかそうでないか、どこで見分けるか!

双方とも、時代のエネルギを内包しています。
双方とも、短いスパンでは、
出版されて、
似たような境遇を辿ります。

では、どこか。

決定的に違うのは、
「普遍性」
その時代が書かせた言葉が、
次の時代へももっと先の時代へもいきつづけるという、
二律背反したエネルギを、「得た」かどうか。
指令は、その「得る」事なのです。