『落日燃ゆ』城山三郎

2007年6月21日 23:32:25

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また読んじゃった。
時々、無性に読みたくなる本があるんですよ。

例えば、太宰治『斜陽』とか、
ドストエフスキー『貧しき人々』とか、
丸山健二『ときめきに死す』とか、
リチャード・バック『ONE』とか、
安部公房『密会』とか、

そして、これもそう。
「触れたい」という感覚に近いかもしれない。
あの程よく抑制された文体。
冷徹になりすぎず、
しかし、熱を持ちすぎず、
事実の積み重ねが、
想像力を超える物語を紡ぎだすことを知っている、
そんな近寄りがたくも、
暖かい小説。

大体、自分が疲れているときに
この手を引っ張り出してくるんですよね。

『落日燃ゆ』
城山三郎

疲れてはいるなあ。
決定的に睡眠が足りていない。
相対的に野菜が足りていない。
あいまいに鉄分が足りていない。
おぼろげに温もりが足りていない。

さて、やはり、一気に読んでしまうわけです。
名作ですから、読まれた方も多いでしょう。

「7人のA級戦犯のうち、
唯一の文官であった元総理、外相広田弘毅。
戦争防止に努めながらも、東京裁判ではその努力は認められず、
絞首刑を宣告された。
裁判を通じて一切の弁解をせず死を従容として受け入れた広田の生涯を、
激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。
次代にまで読み継いでいきたい吉川英治文学賞、
毎日出版文化賞受賞の名作。」

概略過ぎる紹介文です・・・

すぐに影響を受けてしまうのも
自分の性質の一つ。

ああ、政に参画したい、と、不意に思ったりしました。

しかし、それ以上にこんな人間が居たのか、
という誇りと驚嘆。

「てめえなんかに負けるか」と、
つぶやいてみて、
原稿用紙を睨み付けてみる。