『学問の思想』【戦後日本思想大系10】編集・解説_加藤周一・久野収

2007年12月7日 20:19:14

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毎日、憑かれたように本を開き、
読書ってのは、一体何なんだ!と、
叫びつつも、目は活字を追い、

脅迫観念でもなく、
義務でもなく、
勉強という感覚もあまりなく、

読書、ということが、
わからない。

ただ、読む。

そんな最近、こんな記事。

『コンブ日記』

昆布の話ではなく、
コンブさんという方が書かれています。
素晴らしい文章を書かれる方です。
いつ読んでも、「うまいなあ!」と嘆息。
この日の記事は、

「趣味を聞かれて」

その記事を読んで、あらためて考えました。
趣味は?
と聞かれて、これまで何と答えていただろう。
ほとんどの場合、

「本を読むこと」

と答えていた気がする。

どのくらい読んだら、趣味と言えるのか。
うーん、どうだろう。
月に12冊くらいからじゃないかなあ、と。

そして、問題を提起しているコンブさん。
「好きな作家は?」との問いに対する自身への問いかけ。
なるほど!
(そういえば、自分はそんなこと考えもしなかったなあ)

「好きな作家は?」との問いに、
自分は、その問いを発する相手によって答え方を変えてる訳で、
それは、逃げでもあり、挑発でもあるわけです。

「好きな作家は?」
という質問が、嫌いなだけです。

そう問うなら、
「自分は、ドストエフスキーを全巻よんだところ、
どうにも好きになれず、
トルストイを全部読んだら、好みでしたが、
高木さんは、どちらが好きですか?
或いは、他に好きな作家はいますか?」
と問われれば、答えようもあるけど。

(なるほど、ドスト氏とトルスト君か。
今からの会話をロシア、或いは、宗教でいきたいんだな)と。

さて、いつも楽しませてくれる『コンブ日記』。
次の記事を心待ちに、

『学問の思想』【戦後日本思想大系10】
編集・解説_加藤周一・久野収

読書プロジェクト・コード名「鈴木邦男」
最近、横道にそれていましたが、
横道を大体やっつけ、戻ってきました。

学問の思想です。
(そりゃ一体何なんだ・・・)

ページの間にぺったんこになってはさまれていた帯には、
「古いタブーから解放された戦後、
学問は多くの成果を生み、
さまざまな新しい領域を切り拓いた。
本書は、そのめざましい発展の跡をたどり、集大成し、
現在、学問がどのような課題の前に立っているのかを
問うものである。」

とあります。
でも、実際この帯を読んだだけでは、
自分は何も道が見えませんでした。

さてさて、どう紹介しましょう。
思いつくままに。

まず、学問というカテゴリを全方向的に定義しつつ、
その分科していく兆しを捕まえようとしています。
大学における分科問題、
社会科学の定義とその細分化。
思想史の誕生とその未来。
政治学における政治家と政治学者。
ほとんどの記事が、大学ベースで書かれています。

圧巻は、「検討会・新学問論」
縦横無尽に語りつくしています。

編集・加藤周一・久野収
対談・「戦後学問の思想」加藤周一・久野収

【学問の精神】
「検討会・新学問論」
・・・丸山真男・飯塚浩二・川島武宜・大塚久雄・中村哲・野田良之(司会)瓜生忠夫
「思想史の考え方について」丸山真男
「法律解釈の客観性」川島武宜
「『社会科学』革新の方向」小室直樹
「文化分析の構想」梅棹忠夫
「国家史のための前提について」石母田正

【学問の方法】
「現代政治学の問題と方法」京極純一
「日本文学史の方法論への試み」加藤周一
「サークルと学問」鶴見俊輔
「人文科学における共同研究」桑原武夫

【学問の反省】
「職業としての政治学者」高畠通敏
「十字路に立つ大学」林達夫

【付録】
「伝統的理論と批判的理論」M・ホルクハイマー・久野収訳