『現代人間論』【戦後日本思想大系16】編集・解説_小田実

2007年12月28日 01:01:46

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『現代人間論』【戦後日本思想大系16】
編集・解説_小田実

予定通り年内には読み終えた。
読書プロジェクト・コード名「鈴木邦男」、
その第一弾「戦後日本思想大系」全16巻。

確かに、読み終えた。
目の前には、第二弾「現代日本思想大系」全35巻が
うずたかく積まれている。

そう、確かに読み終えた。
線を引き、付箋を貼り、
その部分をテキストに抜き出し、
一つ一つのファイルにしていった。
それらの自分だけの資料は、資料として使いやすくするため、
データベースに収められる。
年初には、その作業にかかれるだろう。
高木読書DB・コード名「人類の脳足りうるか」

高木ごっこの下部のリンクに「日本思想大系」が出来た。
クリックすると、
コード名「鈴木邦男」の軌跡が一覧できる。
「戦後日本思想大系」の第一巻を読んだのが、9月17日。
16巻を終えるのに、3ヶ月かかったわけだ。
このプロジェクト以外にたくさん読んだからだけど、
ちょっとかかりすぎ。

ああ、確かに16巻を読んだ。

そして、今、何を思っているか。
それを書こうとして、なかなか言葉にならなくて、
ぐずぐずと状況を羅列。

そう、何を思っているか。
正確に書くと、
『また一つ、言葉を失った』、という感じだ。

一巻を終えれば何も知らない自分が居て、
何も語れなくなり、
また一巻を終えればその圧倒的な思想力に言葉を疑い、
何も語れなくなり、

16巻を終え、
誰に対しても、何に対しても、
言葉を持たない自分を発見している。

面白く読んで感銘を受けた3巻『ニヒリズム』。
では、「ニヒリズム」について何か語れるかというと、
本当に何も口から出てこない。

「革命の思想」「保守の思想」「美の思想」・・・
どれも驚きと喜びをもって読み終え、
では、それらについて誰かと対論できるか、
とてもじゃない・・・何も口から出てこない。
では、書けるか。

そんな話があったら・・・

書くことが仕事だ。
「書きます!」

「でも、3年下さい」と。
それが原稿用紙一枚の仕事でも、
1000枚に及ぶ仕事でも、

「書き始めるまで、3年ください」

何も知らない自分を発見し続ける、
という作業については慣れているはずだった。

慣れているはずだったのに、
それ以上の無知。

それはそれとして、やっぱり面白い!
休むまもなく、机の上には、
第二弾「現代日本思想大系」第一巻が。
タイトルは、
「近代思想の萌芽」
タイトルだけでわくわくどきどき。

こんな本があるのに寝てはいられない。
こんな本があるのに食べてる暇はない。

読もう!読もう!

全35巻を読み終えたときに、何を思っているか。
それもまた楽しみ。


編集・小田実
解説「人間について」小田実

【死ぬ】
「原爆小景」原民喜
「荒廃の夏」井上光晴
「ベトコン少年、暁に死す」開高健
「基本的人権と医学」松田道雄
「―対談―国家と政治死」武田泰淳・鶴見俊輔

【生きる】
「歯朶(抄)」金子光晴
「雪」石井敏雄
「専門家は保守的だ」片桐ユズル
「今日の証言」梁景河
「デカダン文学論」坂口安吾
「ある『共生』の経験から」石原吉郎
「『めもらびりあ』(抄)」福田定良
「仏教との出会い」真継伸彦
「無抵抗主義」林達夫
「霧の朝」森有正
「童貞」富士正晴

【考え、あらわす】
「現代詩とコトバ(抄)」片桐ユズル
「感覚と欲望と物について」野間宏
「なぜ文学は人生に必要か」桑原武夫
「『太平洋ひとりぼっち』(抄)」堀江謙一
「恵庭事件最終弁論」野間美晴・野間健美

【こわし、つくる】
「人類学上から見た人間の疎外」石田英一郎
「瓢鰻亭通信」前田俊彦
「中国の近代と日本の近代」竹内好

【一つの結び】
「―討論―チェコ問題をどう受けとめるか」
・・・市井三郎・竹内芳郎・日高六郎・福田歓一・吉田光
「格子なき牢獄国家の論理」久野収・(ききて)山田宗睦