『内村鑑三』【現代日本思想大系5】編集・解説/亀井勝一郎

2008年1月18日 20:19:13

写真

なんか、

おかしい。

心の在り様が、不自然だ。
こんな心を感じたことがあるかどうか、
思い出してみる。
これまでのいろいろな場面や年齢や状況を考え起こしてみる。

うーん、初めてだなあ。

ということで、分析しよう。
一日考える。
「今、俺、どんなんだ?」と。

きちんと落ち着いているようで、
でも、その「落ち着き」の真ん中あたりに小さいけれど
大騒ぎをしている奴らがいる。
きれいな澄み切った湖の真ん中で、
小型の未発見生物がばしゃばしゃとはねている感じかなあ。

不安や焦燥とは、もちろん違う。
未発見生物なんだよね。
と、数時間楽しく考えていたら、
はたと思い当たった。

これか・・・

読み終えた一冊の思想書。
「内村鑑三」
こいつの影響だ。

『内村鑑三』【現代日本思想大系5】
編集・解説/亀井勝一郎

そうだ、これを読んだからだ。
自身を振り返りすぎたのか。
本当のことをこの本に言われ続けたからか。

鑑三さん、もう・・・

読み始める前には、この「現代日本思想大系」に
「内村鑑三」は似合わないという思いがつきまとってて。
それは、内村鑑三が思想家という印象がとても薄かったからで、
膨大な著作があるのは知っていても、
それらは、キリスト教の解説みたいなものかなあ、と。

読み始めてみると、そりゃそうだキリスト教。
自分と本との関係がなんとなく不安定で、
折り合いがなかなかつかず、
けれども、
言葉の一つ一つ、内容の全てが、暴力的にインプットされていく感じ。

とは言え、いい内容なんだなあ、これが。
嘘や虚飾が一字もない。
どんな論文でも、瑕疵のひとつや二つはあるのに、
鑑三さんには、ない。
だから、暴力的なんだ。
とてもやさしい文体なのに、荒々しい。
悟りきった鑑三さんなのに、その一句は、激しい。

自分の頭にキーボードをつながれて、
「CK」という人が、ものすごいスピードでタイピングしている。
こっちは、それを処理しようと
ハードディスクがぐるんぐるん音たてて回り、CPUは構造上高温を発する。
その熱を処理するために、排熱ファンが轟音で回り続け、
それでも熱処理が追いつかず、
そろそろ、落ちちゃおうかな、と思っていても、
どんどん入力してくる。

その暴力的な入力についていけず、
頭の中で、ファイルをまとめることも、
フォルダを作ることも、
階層化することも、
最後の手段、全削除することもできず、

読み終えた。

入力された膨大な鑑三さん。
小型の未発見生物鑑三さん。
ばしゃばしゃと真ん中ではねまわる。
確かに感じたことのない、心持ち。

どきどきする。

強行突破しようと、次の巻を手に取ると、
「キリスト教」・・・


解説「内村鑑三」亀井勝一郎

【信仰による自己形成】
「余はいかにしてキリスト信徒となりしか」

【キリスト教の根本問題】
「宗教座談」

【罪と救いと死について】
「モーセの十戒」
「罪とはなんぞや」
「堕落の教義」
「罪とその根絶」
「罪と完全」
「罪悪の探求」
「罪のゆるしの宗教」
「罪の処分」
「ゆるさるる時」
「死に関する聖書の教示」
「死すべき時」
「自殺の可否」

【社会における実践】
「日本国の大困難」
「宗教と政治」
「キリスト教と社会主義」
「余が非戦論者となりし由来」
「世界の平和はいかにして来たるか」