『人間の運命』第3巻・愛/芹沢光治良
2008年3月9日 00:51:36
劇団再生『天皇ごっこ〜思想ちゃんと病ちゃんと〜』
公演は、4月。
あと1カ月か。
稽古が進んでいる。
入念なアップに発声をし、
集中力の切れない稽古。
曖昧な現実の入り込む隙間のない完全なる虚構。
目の前の俳優を見る。
見るほどに着色されていく人間性。
市川未来、
磯崎いなほ、
鶴見直斗、
さとうまりこ、
田中惠子、
あべあゆみ、
田上雄理、
7の現実が物語。
隣には、制作の中田祐子、
8の現実が、
自分を合わせ9の未来を引き寄せる。
目の前の俳優を見続けることが、
演劇そのものではないか。
目の前の俳優から一瞬たりとも目を離さないことが、
作品を創るということではないか。
『人間の運命』第3巻・愛
芹沢光治良
稽古を終え、
居酒屋でみんなと過ごす。
真夜中、
バイクにのっかり帰宅すると、
パソコンの電源を入れると同時に、
読みかけの本を、少し、
読む。
その先の時間の道をつけるために、少しだけ、
読む。
『人間の運命』
ゆっくり読んでいるにもかかわらず、
どんどん進んでしまう。
読みやすい平易な文体だからということもあるけれど、
それ以上に、
物語の中の登場人物が、
生々しく生きているからなのだ。
生きている。
この活字の中で、生臭く、生きている。
主人公の目を背けたくなるほどの生命。
彼を取り巻く時代という時代。
大河ドラマが大河ドラマとして立脚する、
時系列性。
主人公の成長と時代。
この年になるまで、こんな本を知らなかったのか・・・
もっと早く出会いたかった。
もっと早くに。