『誠実な詐欺師』 著/トーベ・ヤンソン 訳/冨原眞弓
2006年7月22日 09:42:04
一気に読みきった良作!
と、いきなり興奮気味の一言。
はい、いい作品でした。
雨には不似合いな作品でしたが、
読み進めるうちに、
この練馬区には、雪が降り、
湖には氷がはり、
『誠実な詐欺師』
著/トーベ・ヤンソン 訳/冨原眞弓
ヤンソンです、ヤンソン。
ご存知、『ムーミン』シリーズの作者です。
ムーミンは素晴らしい児童文学です。
テレビで見るのと、
読むのとは大違いで。
読むことをすすめます。
あのアニメはあれで、味わい深いのだけれども。
さて、本書!
「雪に埋もれた海辺に佇む<兎屋敷>と、
そこに住む、
ヤンソン自身を思わせる老女性画家。
彼女に対し、従順な犬を連れた
風変わりなひとりの娘がめぐらす
長いたくらみ。
しかし、
その「誠実な詐欺」は、
思惑とは違う結果を生み・・・・」
正直に、
うん、
泣きました。
静かに、静かに。
ストイックに推敲が重ねられて、
簡素に単純にされた文章。
そこに描かれるモノトーンという無限の色彩と気温。
ヤンソンは、
この本を書くために生まれてきたのかもしれません。
作家には、そんな一冊があるものです。
画像は、筑摩書房から10年くらい前に出版されたものです。
現在は、ちくま文庫で入手できるはずです!