『科学の思想』【現代日本思想大系26】編集・解説/上山春平・川上武・筑波常治

2008年7月17日 23:09:14

写真

稽古から帰宅する。
そして、数十時間後には、また稽古場に向かう。
稽古場と稽古場の間の数十時間。

劇団員に劇団員それぞれの生活があり、
それぞれの悩みや問題を抱え、数十時間を生きる。

鈴木邦男さんから郵便物が届いていた。
手に持つと拳銃ではないことがはっきりとわかった。
それよりも危険な雑誌だ。
言葉という丸裸の弾丸のつまった雑誌だった。

劇団員の数十時間。
それを思う。
いつも、思う。
彼らの生活を思う。
誰がどこに住んでいるのか、定かではないけれども、どこかに生きていて、
稽古場にやってきて、稽古場から帰っていく。

それが、演劇だ。

帰宅すると、見沢知廉さんのお母さんから手紙が届いていた。
便箋7枚にもわたる手紙。
万年筆で丁寧に書かれた言葉。
彼女の声を思い出す。彼女の笑顔を思い出す。

次の稽古は、あさって。
あさってまでの数十時間。

『科学の思想』【現代日本思想大系26】
編集・解説/上山春平・川上武・筑波常治

訳あって、鈴木邦男著「腹腹時計と〈狼〉」を読んだ。
「腹腹時計・都市ゲリラ兵士の読本」を読んだ。
〈狼〉の〈大地の牙〉の〈さそり〉の

それは演劇だ。

【現代日本思想大系】も26巻。
科学のだ。生物学と医学。普段なじみの無い分野だけれども、
その思想性は、一貫して日本だ。
西洋と日本。

いつもその構図が出てくる。今でもそうか。
西洋があって、その対応としての日本。哲学しかり、近代文化しかり、教育しかり、

日本が一人で立っている構図が見えてこない。
同時の科学者の焦りと不安が見える。
焦燥の中で突っ張り続ける科学者という不良生活者たち。


解説「生物系科学者の思想」上山春平・川上武・筑波常治

【進化と生態】
「種族の死」丘浅次郎
「人間生活の矛盾」丘浅次郎
「改善は頭から」丘浅次郎
「いわゆる自然の美と自然の愛」丘浅次郎
「理科教育根底」丘浅次郎
「境界なき差別」丘浅次郎
「生物学と産児制限」山本宣治
「生物の世界」今西錦司

【医学の思想】
「国家衛生原理」後藤新平
「女工と結核」石原修
「医療の社会化」社会医学研究会
「社会医学」宮本忍
「乳児死亡の実態」丸山博
「日本医学」橋田邦彦
「人命をあつかうもの」松田道雄