●西村京太郎で6冊●『尾道・倉敷殺人ルート』『十津川警部の抵抗』『十津川警部「スーパー隠岐」殺人特急』『豪華特急トワイライト殺人事件』『富士・箱根殺人ルート』『鳥取・出雲殺人ルート』
2008年9月19日 07:59:09
脚本のことばかり考えていて、物語が頭の中にあふれていくと、
頭の中言葉が溢れていくと何故かいつも
漫画を読みたくなる。いつもそうだった。
とくにラストシーンに近づくにつれ漫画を読みたくなってくる。
今もそう。ラストシーンにはまだまだだけど、頭の中をフラッシュしている映像は、
これまでたくさん書いてきたラストシーンの集大成。
こんな時、何故か漫画を手に取りたくなる。
小説、思想、文学。そんな書物の言葉を
肉体が、精神が、脚本が拒絶しているのかもしれない。
他の言葉を入力するな。
俺の脚本を他人の言葉で邪魔するな。
体がそう言っているのかもしれない。違うかもしれない。
理由はわからないけれど何故か、
漫画を読みたくなる。コンビニでどうでもいい漫画を買ってみたりする。
そうやって、こんな時期には漫画を読んできた。
読み終えた後は、どうしようもない虚脱感を感じる。
漫画をほうり投げ目の前には、原稿用紙と万年筆。
この脚本『スーザンナ・マルガレータ・ブラント』
あと60枚から70枚か。今も漫画を欲している。
けれども今回は無理やり小説を手にしてみた。
帰宅途中のコンビニで「こち亀」でも、と思って棚を見たら、
西村京太郎があった。試しに買ってみた。漫画みたいに軽く読めるかもしれない。
そう思って買ってみた。
・・・はまった。西村さんに。
なかなか具合がいい。西村京太郎は漫画以上に漫画で言葉以上に絵画。
漫画一冊読むのと同じ速度で西村一冊読めてしまう。
2冊目3冊目で気が付いた。句読点の位置が独特だ。
「ここで読点はないだろう!」というような位置にうっている。
それが読みやすくしている一因だろうけど、それだけじゃない。
笑っちゃうほど読者に寄りかかっている。読者の想像力を誘導している。
冷静に読みば、突っ込みどころが満載のはずなのに、許してしまう。
それは、
雪と言ったら冬で東北を連想してね。
電車は軽い密室だよね。
大会社の社長の息子はわがままでしょ。
その妻は美人で子供はいい服を着てるし。
NO学歴で出世している人は冷たい顔で常務に言われたまま見合いをするよ。
みたいな、完全に読者の既成概念を誘導に利用している。
なのでどんなに複雑な物語でも言葉が少なくてすむ。
うまいなあ、と思う。
登場人物のアウトラインを読者任せにしてるんだから、その分ストーリーを書ける。
そのストーリーも常識的既成概念に依属してるから、速度が早い早い。
長距離列車に乗ったら事件。
寒風吹きすさぶ浜辺は死体。
唐突な川の描写は死体。
子供から目を離せば誘拐。
専務が残業したらスパイ。
分かりやすい!これは凄い!いい手だ!
と、西村京太郎にはまった数日。
でももう飽きた。