●1298●『日本をダメにした売国奴は誰だ!』『多読術』『難解な本を読む技術』『本の読み方 スロー・リーディングの実践』『心と響き合う読書案内』
2009年6月21日 22:23:24
先日気が付いたら、時計が止まっていた。
それは、まあいい。電池がなくなったんだな、と思った。
この時計は、2年前の『見沢知廉三回忌追悼公演』の稽古場のために買ったものだ。
多分、100円とか、200円の時計。単三電池一本でかちかちと刻んできた。
その時計が止まっていることに気が付いて、まあいいか、とそのままにしていた。
今日、その時計が突然動き始めた。
頼りなげに秒針がかちりかちりと動き始めた。
動き出したけれども、何かがおかしい。じっと、観察してみた。
梅雨か、そうか、梅雨か。以前は、こんな季節は時代物ばかり読んでいたな、と思い出した。
池波正太郎を好んで読んだ。雨が降ると、なぜか時代物の小説を読みたくなる。
多分、雨の匂いなんだ。小さな雨の匂いがぼくの中の何かを喚起させるるのだろう。
江戸の小さな匂いと梅雨の同一性。
体調がおかしいぞ、と覚悟を決めて一日横になる。
体調が悪いときは、豚肉を食べるといいよ、と劇団員が言っていた事を思い出す。
豚肉を食べると元気になると。なるほど、よし、と豚トマトカレーを作る。
ご飯を炊いて、食べに食べてついでに薬も食べる。
汗をかき、機嫌を良くして、本を読む。
鈴木さんからいただいた本を順に読んでいきながら、
買ったまま読んでいなかった本を片付けていく。今日は全集はお休みだ。
全集を読みつけているからなのか、どんどん読める。驚くほどどんどん読める。
そういえば、読書論・読書法の本を買ったままほったらかしにしてあった。
いろんな人が読書論を書いているな、とそう思った。いろんな人が読書法について本を書いてるな、と思った。
ただそれだけだった。
これらの本を読んで、自分の実になったか。と、考えてみた。
『日本をダメにした売国奴は誰だ!』前野徹
(269)
『多読術』松岡正剛
(208)
『難解な本を読む技術』高田明典
(280)
『本の読み方 スロー・リーディングの実践』平野啓一郎
(224)
『心と響き合う読書案内』小川洋子
(317)
さて、突然動き出した時計。動き出したけれども、何かがおかしい時計。
じっと見続けてみると、
秒針が弱っていた。
40秒のところから、上に上がっていかない。
かちりかちりと音はすれども、秒針が40秒のところで足踏みをしている。
重力に逆らう力がないのか、なかなか一秒が進まない。
かちりかちりと頑張っている秒針。
意を決したときに、一秒進む。41秒になった。また、ここで足踏みだ。
かちりかちりと音はすれども、
進まない。
長い時間をかけて、一秒を刻む。
45秒になった。ゆっくりゆっくりと汗をかきながら一秒を進む。
一分を刻むのに何分かかるのだろう。どきどきわくわくしながら時計を見続ける。
50秒まで進んだ。
おっ!
51秒、52秒、進むじゃないか。
50秒を越えて重力の呪縛から逃れたか!
かちりかちりと順調に一秒を一秒ごとに刻んでいく。次の40秒が楽しみだ。
今度はどうだ、40秒の鬼門。かちりかちり。
40秒だ。止まった・・・進まない・・・かちりかちりと音はすれども、進まない・・・
時計を見続けていた。
一分を進むのに、10分以上がかかる時計。かわいいやつめ。
もはや時計の用をなしていないけれども、なかなかかわいいやつ。
40秒のところで足踏み、40秒から50秒までの10秒間を10分近くかけて頑張る。
かちりかちりと音だけがやけに大きく聞こえる。
稽古から帰宅して、時計を見た。
やっぱり同じだ。40秒の足踏み。頑張れ頑張れ。