●1116●『柳田国男集』【近代日本思想大系14】・『右翼は言論の敵か』『拉致〈2〉左右の垣根を超える対話集』『正統と異端』

2009年12月21日 19:30:42

写真

写真



やっぱりばたばとと動いている。12月か。
12月か、と思うと、決まってSIONの「12月」が口をつく。
もう15年以上も前、ミラという軽自動車に乗っていた。
カーステレオからは、SIONとPEARLがいつも流れていた。
「12月」も、カセットテープがオートリバースしながら、何度も何度も流れた。
冬の井の頭通りを、甲州街道を、環七を山手通りを、歌いながら。

ちょうど私生活ががたがたと音を立てて崩れていった頃だ。
驚くほど簡単に体も生活もぶっ壊れた。
SIONを聴きながら、閉じこもり、世界を爆破するために、「爆弾教本」を読みふけった。
病院にぶち込まれ、白い壁と小指と死霊と飽くことなく言葉を交わし、
最初に爆破すべきは、この病室だ。そして病室もろともこの体を爆破すべきだ、と、

いつもSIONを聴いていた。
今年も12月。12月か、と思うと、「12月」が口をつく。

『ふたりに疲れてはひとりに戻り
まただれか恋しくてまた繰り返す

屋根の上の猫がそんな俺を見て
めずらしいものでも見るよな顔して笑った』

生まれ育った山口県、日本海。国道191号線。
あの町で暮らした18年。そして、その18年を超える年数を東京で暮らし、
この平和台で暮らし、ずっと、そういえば、SIONを聴いてきた。

一曲一曲にまざまざと当時の絵が浮かびあがる。
毎年毎年、「12月」が口をつく。

『変わりゆく時間に心まどわされ
今日一番の宝は明日屑かも知んねぇ

恋人たちの手はきつく握られたまま
俺たちにもう何も見せるな さけぶようにつぶやいた』

涙もろくなった。
確かにそうだ。

『12月 街はクリスマス気分
あちこちから想い出したようにジョンの声
そして俺ときたらこのごろになると
なにかやり残したようなやわらかな後悔をする』

後悔なんか一度もしたことがない。なんだそれ。
後悔ができるほど贅沢な暮らしを暮らしたことなんかない。
冗談じゃねぇ。

あの宝物だった「爆弾教本」は、今どこにあるのか。
暗誦できるほど読み込んだ第三章「黒色火薬の取り扱い」

今もSIONが歌い続けている。


『バカ言ってんじゃねえ

みんな違うからのたうち回ってんだろ

みんな違うから殺し合ってんだろ

みんな違うから分かろうとするんだろ』

『柳田国男集』【近代日本思想大系14】

(472)

『右翼は言論の敵か』鈴木邦男

(253)

『拉致〈2〉左右の垣根を超える対話集』蓮池透

(185)

『正統と異端』堀米庸三

(206)

今年は一体何冊読んできたんだ。
毎月10000ページのノルマ。年間12万ページのノルマ。
そろそろ達成している頃だろう。
一冊平均300ページだとしたら、400冊か。
まあ、そんなとこだろう。

来年のノルマはどうするか。
また冊数にするか。それとも面白がって鈴木邦男案の重さでいくか。
重さか・・・案外面倒だな。
今年のノルマのカウントも意外にめんどくさかった。
やっぱり冊数がすっきりと分かりやすいのは分かりやすい。

SIONのアルバム『鏡雨〜kagamiame〜』がリピートしている。

『お前の空まで曇らせてたまるか』と、カーステレオじゃなく、パソコンから流れてくる。

12月か、と思うと毎年「12月」が口をつく。

くそっ! またカレンダに躍らされている。
来年の手帳を持った。
毎日便利に、今はこの手帳なしじゃいられないほどだ。
それは、ぼく自身の敗北を意味してはいないか、とまた問いがたつ。

カレンダに笑われている。
時間が勝ち誇った笑いを笑っている。

臥薪嘗胆、いいだろう。今に見ていろ! 時間め!
そのうちその天狗の鼻をへし折ってやる。
時間が不動であれやこれやの概念の最上位にいると思って威張ってんじゃねぇ。
今にそこから引き摺り降ろして、

お前の息の根を止めてやる。時間を止めてやる。
12月か。

SIONを聴きながら、今日も原稿用紙の前に座る。

『柳田国男集』【近代日本思想大系14】

(472)
編集・解説/鶴見和子

遠野物語
山の人生
山人考
山人外伝資料
先祖の話
魂の行くへ
葬制の沿革について
毛坊主考
現代科学といふこと

「柳田国男の祖先観」桜井徳太郎

解説・鶴見和子

年譜
参考文献