『ロシア革命』【「知の再発見」双書117】・『錬金術』【「知の再発見」双書72】

2010年2月8日 01:54:10



また一人を知った

こんなにも強固なのか、ぼくの世界は。
土足で入ってくるんじゃない。そんな薄汚れた足を踏み入れるな。
ここは、きれいなとこなんだ、とまた一人を知った。

逃げ出すように一人を知った。頼むから一人にしてくれ。頼むからもう何も言うな。
頼むから俺を見るな。頼むから傍に寄るな。頼むから静かにしてくれ。頼むから一人にしてくれ。
何度も言ってるじゃないか。ぼくは、思考こそが本体なんだ。思考こそがぼくだ。
思考していないぼくは無価値だ。頼むからもう少し価値あるぼくで居させてくれ。頼むから頼むから。

ぼくは一人で歩いている。

『ロシア革命』ニコラ ヴェルト
『錬金術』アンドレーア アロマティコ

演劇を甘やかせてはならない。

演劇をここまで堕落させたのは、やはりぼくたちだ。
先人先達にも大きな責任がある。あるけれども、そんな奴らの責任を問うてどうなる。
悠々と死んでいった、或いはのんびりと演劇を余生する彼らに罪の意識などさらさらないだろう。
罪の意識があるならば、演劇もここまで堕落しなかったはずだ。
恥知らずどもめ。

ぼくは一人で歩いている。
演劇は自立し、演出家も、俳優も、照明家も、作曲家も、音響家も、衣装も、メイクも、何もかも自立し、
これまで何十年も培ってきた演劇界の恥知らずな相互安全保障システムを破壊する。
一人っきりでなければ、演劇を創ることはできない。
自らの命を投げ出し、自らの命を死守し、命をただ、ただ、燃焼する。

それにしても、ここはきれいだ、とまた一人を知った。
入ってくるんじゃない。そんなだらしない足を踏み入れるな。
戦闘者の眼つきで一人を知った。殺害者の優しさで一人を知った。

一日、文字を追い続け、一日、文字を書き続け、目の奥がひどく痛む。
そして、案の定、背中に、きた。
背を丸め、片膝をついての体勢の連続は、右肩だの肩甲骨あたりだの腰だの内腿だののあちこちに、
不具合を発生させている。

ちくしょうめ、背中が悲鳴をあげている。
目の奥の痛みがとれない。目を閉じるとその痛みはもっと奥を攻めてくる。
冷やしたほうがいいのか、あっためたほうがいいのか、判断がつかない。

くそっ、本でも読むか。