『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』塩野七生

2006年12月27日 22:58:03

写真

夢を見ました。

こぐまのぬいぐるみに連行され、
こうさぎが守る牢屋に入れられた自分。
こぐまもこうさぎも、
もちろん自分より小さいうえに、
かわいいんだよなあ・・・
と思いながら、
牢の中で、無罪を叫んでいる夢。

この夢をある「女性の右翼」の方に伝えたら、

『無罪を主張、んじゃ、政治犯じゃないのか!』

と返されました・・・

そうか、自分は、この時、政治犯じゃなかった・・・

『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』
塩野七生

まさしく政治犯の登場です。
というか、有名な彼です。
今、漫画にもなっていますね。

それにしても、いいタイトルです。
優雅なる冷酷!
ああ、いいですねえ。

「法王の息子というキリスト教世界での異端児でありながら、
チェーザレは枢機卿にまで上り詰めた。
しかし、その象徴である緋の衣を脱ぎ捨て、
真の目標に向け進み始める。
剣を手にした彼の野望は
「イタリア統一」
父や縁戚フランス王の権威を背景に、
自らの王国樹立のために
権謀術数の限りを尽くした若者の鮮烈な生涯を描く。
「毒を盛る男」と
断じた歴史の評価に対し
「マキアヴェリズムの体現者」
「行動の天才」
という新しいチェーザレ像を提示した、
初期の代表作。
初めて収録した著者自身による
執筆当時の回想(メイキング)は、
自伝とも言いうる内容で、
塩野文学の核心を明かす好読物。」

感嘆すべきは、この物語の縦横なる視点。
塩野文学の特徴とでもいうべき、視点です。

ズームしたかと思うと、とたんにワイドに視野が開け、
時間さえも自在に操り、
だからといって、
読者が混乱することなく、
引き込まれたまま読み終えます。

なんというか、
自分が歴史の番人のように感じる視点に読者を立たせてくれます。

そして、
読了後、
『男は、何をすべきか』と
純粋に感じられる一冊です。

何か、何か、何かを担保に、一つのものを手に入れる・・・