『モンテーニュ』【人類の知的遺産29】・『ベーコン』【人類の知的遺産30】・『迷いアルパカ拾いました』『ダイナマイト・キッドなんか大嫌い』『銀行狐』『仇敵』『未完の敗者 田中角栄』『明かしえぬ共同体』
2014年7月30日 00:53:07
ひっくり返って本を読む時間が多い
というのは、換金性の高い何かをしていない、ということなのだが
それはそれとして『人類の知的遺産』
『世界の名著』に比べて、どうにも手が伸びない
全80巻、素晴らしい全集だ。だが、『世界の名著』を読んだ今となっては、どこか軽く感じられる
というのは、その編集方針の違いにある
『世界の名著』は、翻訳革命と言われ、とにかく原典収録にこだわった感がある
基本的に全文が原典だ
それに比べ『人類の知的遺産』は、解説が主となる
その時代、その人物、その思想、というものを専門家が解説を施し、原典収録は、少ない
それが、満足度の違いとなっている
もちろん、編集方針が違うのだから、両全集は適切に読まれればそれにこしたことはない
ただ、ぼくは『世界の名著』を読んでしまい、
おまけに、評論や、解説というものをあまり好きではないという性質ゆえに、どうにも、ということだ
どんな専門家が書いた解説でも、原典を読み、自分で考え、感じることの方が大切だと思っている
作品だけがその作者だと思っている
啄木が生前、具体的にどんなことを言い、どんな性格だったのか、はどうでもいいのだ
あのすばらしい短歌を味わいたいのだ
太宰が生前、どうだったのか、そんなことはどうでもいいのだ
その作品を味わいたいのだ
三島が、公房が、ドストが、生前、どうだったかなんてどうでもいいのだ
遺された作品が、そこにあればいい
しかし、生前の作者の一言、一歩が大好きな種類の人間も存在する
それも、とても多く存在する
死後の日記や手紙を読み漁り、研究と言う名のもと覗き趣味丸出しで、
自分だけが知っているという優越感をぷんぷんさせながら、本を書いたりする
下らない
中には、生前の質札や借金の借用書をこれ見よがしに公開し、
作者の生活を丸裸にすることを至上の研究のような口ぶりで尊厳を踏みにじる輩
そして、そんな本が、売れるのだ
くだらない
というぼくの志向から、やっぱりその作品自体を味わいたいのだ
それには、やっぱり『世界の名著』
誤解があるといけないので一言
『人類の知的遺産』が上記した覗き趣味丸出しの研究解説かというと、決してそうではない
そんな本がとても多くある、という一般論だ