森田童子の夜

2017年1月14日 01:53:49

森田童子を聴きながら

いつもの夜だ。電話の電源は切ってある。誰とも繋がりたくはない。

夕方からの読書の時間を終えての束の間。レコードがくるくる回っている。今日も良く読みました。6時間。2冊のミステリを読み終えて、3冊目に入る前の束の間。森田童子がくるくる回っている。A面が終わるまでの束の間。音楽を聴くだけの時間。いつもの夜だ。誰とも会いたくない。

昨年からの取り組みだ。シングルタスク。本を読むときは本を読む。音楽を音楽を聴くときは、それ以外のことはしない。食べるときは食べることだけをする。ひところ、マルチタスクにはまっていた。あれもこれも同時にやって、仕事ができる気になっていた。それで仕事ができなかった訳じゃないし、不満があった訳でもない。単純にシングルタスクを実験したいだけだ。自分で経験も体験もしないで、したり顔であーだこーだ言う言う人が嫌いだけなんだが。そんな人が多すぎる。嫌いだ。

昨年読んだ本は、515冊

記録だ。よく読んだと、自分でも思う。本当によく読んだ。視力が落ちた気もする。眼鏡を何本も作った。本を読むストレスを無くすために。515冊。4割は仕事の本。2割が全集だの思想集。2割が読み直し。太宰、公房、乱歩、丸山、吉村昭。あとは、大好きな現代のミステリだ。こうなると、1000冊を体験してみたい。年間1000冊の読書体験は、どんな景色だろう。それを見てみたい。そうなると、今の倍の読書時間が必要となる。今に仕事や生活じゃとても無理。でも、いつか挑戦したい。

時間がない。

真夏の淋しい蒼さの中でぼくは一人

真夏の淋しい蒼さの中でぼくは一人、やさしく発狂する。

森田童子が歌っている。もうすぐA面も終わりだ。そろそろプレイヤーの針を交換する時期か。聴き終えたら、靴の手入れをしておこう。汚れを落として、ブラシをかけて、油をさして、並べられた靴を眺める。そして、窓を開け、洋服にブラシをかける。そしたら、B面だ。

電話は落としたまま。時計の電池は昨年から抜いたままだ。9時44分で新しい年を迎えた。誰にも会わない実験をしてみたいのだが、難しいだろうか。昔、音楽を聞かない実験をしたことがあるが、難しかった。自宅にいるときには可能なのだが、一歩外に出ると街中がメロディだらけだった。

時間がない。

ぼくが発狂するとき、そこには誰もいない。

いま聖母マリアが浮上する

今日は奇蹟の朝です

それを聴いたら、次に取り掛かろう。森田童子がくるくる回る。ぼくを肯定しながら否定しながら。

最後に書く脚本のタイトルは決めてある。それを書いたら、仕上げだ。待たれることもなく、望まれることもなく。

憧れすぎたのかもしれないな。

焦がれすぎたのかもしれない。

あの作品のト書きで描いた城の地下室。ぼくは、今、そこにいる。