『朱の丸御用船』吉村 昭
2007年6月22日 20:03:37
衝撃的な作品。
生唾をごくりと飲み込み、
眉間にしわをよせ、
同時代の痛みと極限。
梅雨、毎年梅雨の時期には時代物を読んできた覚えがある。
小雨煙る東京に
江戸の町を自身走る。
と、目に付く赤い表紙。
『朱の丸御用船』
吉村 昭
ご存知、吉村昭さん。
膨大な作品群、
そこを一貫して流れる男たちの矜持と誇り。
死の直前の人間の責任と選択。
ぎりぎりと歯を食いしばる音が聞こえるほどの
ぎりぎりの生き様。
以前にもここで書いた、吉村昭さん。
たくさんの作品を読ませていただいた。
鈴木邦男氏と話した折、
「一番すきなのは『破獄』です」と答えたが、
こうやって、
改めてその作品に触れなおすと、
甲乙つけがたし作品群・・・
「江戸末期、難破した幕府の御用船からこっそり米を奪った漁師たち。
以来、村を襲う悲劇と、追いつめられた人間の心理を描く歴史小説」
彼の作品を読んでいるときには、
いつもそう。
「自分ならどうするかなあ」
と。
そして、その時代に自分が生き、
ごくり、生唾を飲み込み、
次の選択を考える。
生きるか、死ぬか・・・