『教育の思想』【戦後日本思想大系11】編集・解説_佐藤忠男
2007年12月9日 00:03:37
読書というものがなんなのかわからないまま、
本を読むということをしている。
手元に平成15年度の出版に関する資料がある。
経済産業省商務情報政策局
文化情報関連産業課
といういかにもいかにもな名前のところが出している、
「出版産業の現状と課題」という奴。
さて、どんな内容かというと、
タイトルどおりの内容で、特筆すべきものはなにもないけれども、
1点、
年間に出版された書物の量!
何冊くらいの新刊が出版されたでしょう。
新刊出版点数という項目ですが、72055点。
年間、72000点の新刊が出版されたんですよ!
平成15年の資料ですが、
現在もそう大きく変わりはないでしょう(根拠はありませんが)。
72000点・・・
一日平均で200点の新刊が出版されているのです。
200点の新刊が一日に・・・
毎日一冊読んでも追いつくはずがない・・・
ましてや、過去の本や、古典なんかをいれていくと、
とてもとても・・・
あと何冊の本が読めるだろう。
一冊でも良い本と出合いたい。
それだけが、唯一(に近い)の願い。
『教育の思想』【戦後日本思想大系11】
編集・解説_佐藤忠男
あまりの本の多さに、
絶望の淵でふらふらと本を読み続けていたある日、
救いのプロジェクトが舞い降りました。
コード名「鈴木邦男」
さて、本書。
なんだか、すらすらと読みやすく、
論点は難解なのだけれども、面白く、
8時間、一気に読みきりました。
巻頭の解説を読み終え、
(おや、苦手な分野か)と構えたところ、
次が「初等科国語六」
これは何かと。
戦前に使われていた国語の教科書の全文掲載。
戦後の指導で墨消しされた部分が読めるようになっています。
何を墨消しして
何を残したのか。
考えることしきり。
そして、日教組の倫理綱領。
その第8条に目は釘付けとなり、
思考は右に左に。
山びこ学校で思考は深く沈降し、
旭ヶ丘事件問題で心を熱くし、
裸の教師では、怒りと任侠心が燃え上がり、
教科書検定の詳細は、なんでこんなのがだめなの?と
面白く、
一気に読み終えました。
1日200冊もの新刊が出版されている日本。
こんなに、力のある一冊が、
こんなに、理想のある一冊が、
こんなに、使命あふれる一冊が、
どれだけあるだろうか。
編集・佐藤忠男
解説・戦後教育の思想・佐藤忠男