『マルキシズム』【現代日本思想大系21】編集・解説/竹内良知

2008年5月22日 00:14:16

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昨日読了した一冊。

昨年秋から取り組んでいる、『日本思想大系』シリーズ。
【戦後】16巻、【現代】35巻、【近代】35巻。合計86巻。

『戦後日本思想大系』を終え、
『現代日本思想大系』を読んでいるところ。
全86巻、年内には読み終えるだろう。
読み終えたときに、何が見えているか。
何も見えなくなっている可能性の方が高いけれど、
何も見えなくなるのも、また一興。

そういえば、以前、鈴木邦男さんと対談をした。
そのときに、この『日本思想大系』シリーズの話を随分とした。

思想は、世界の果ての、唯一のやさしさだ。

一言で言い得ない、饒舌なやさしさだ。

『マルキシズム』【現代日本思想大系21】
編集・解説/竹内良知

マルキシズム。その第2巻。
『マルキシズム』の難解さは、そのまま『』に。
そう、難解。
各論文のタイトルだけでも挫けそうになる。

「読みやすそうなのから読めばいいんですよ」
鈴木さんは、そう言っていた。
けれども、

どれが読みやすそうなのか、それさえも判断できない。
なので、順番に読んでいった。

マルキシズムを2巻読み終えた。
マルキシズムが少しだけ分かった、とも言えない。
ただ、

時代と時代の狭間の果てで、
マルキシズムに捕らえられた、マルキシズムに選ばれた、マルキシズムに微笑まれた、
幾多の人間が、居た。

それを、知った。
時代と時代の狭間の果て。
そこは、地獄なのかもしれない。
そこは、真っ暗闇なのかもしれない。
そこは、人間の住まない荒野かもしれない。

時代と時代の狭間の果て。
しかし、そこは、人間らしい人間だけが住む桃源郷かもしれない。

マルキシズム、と呟いてみる。
感傷と痛痒。

生き抜いた彼ら。
死に続けた彼ら。
マルキシズムに魂を売り、何か、何か、何かと取引をした彼ら。

迷惑なヤツだ、マルクス。
そんな思いに次の巻を開く。


解説「日本のマルクス主義」竹内良知

【世界観の把握の深化】
「『方向転換』はいかなる諸過程をとるか、
われわれはいまそれのいかなる過程を過程しつつあるか」福本和夫
「科学の大衆性」戸坂潤
「わが弁証法的唯物論の回顧と展望」加藤正
「現代における認識論の意義」古在由重
「マルクス主義の定義」加藤正

【伝統的文化との対決】
「思想の科学」戸坂潤
「インテリゲンチャ論に対する疑問」戸坂潤
「法律学における政治的性格」加古祐二郎
「天皇制ならびに皇室の問題」高倉テル
「宗教者は唯物論者であるか」三枝博音
「親鸞ノート」服部之総
「啄木に関する断片」中野重治

【戦後における展開】
「戦争の精神的遺産」梯明秀
「唯物論と人間」梅本克己
「歴史学における民族の問題」石母田正
「現代文学の基礎」野間宏
「生活綴方的教育方法の成立と到達、今後の展望」国分一太郎

【スターリン批判以後の反省】
座談会「マルクス主義はどう発展するか」古在由重・久野収・鶴見俊輔