●1500●『世界教養全集34』『世界教養全集 別巻4』『福沢諭吉伝説』『蒼白の馬上』

2009年5月11日 21:41:19

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ぼくは、演劇人だけど、演劇と取引することはしない。
ぼくは、劇作家だけど、脚本と取引することはしない。
そして、
演劇人と演劇の間を取り持つこともせず、
劇作家と脚本の仲を取り持つこともしない。

もう寝てしまおうか、と思う夜もある。
そんなこと知るか、と毒づく夜もある。
そして、
なんのことはない、本を開く。あと何冊読めるだろうか、と本を開く。

役立たずの体に、ポンコツの頭。

今夜も世界中の舞台で演劇が上演されただろう。
次の舞台の為にいくつもの言葉が脚本家によって書かれただろう。
それらの舞台や言葉は、どんな爪痕を残すのだろう。
どこに爪痕を残すのだろう。
俳優の思い出や記憶か、観客の同じくそれか、それとも換金された侘しさか、
書くことによる自己確認に重大重要なる意味を与えたがる凡人凡夫にか、

攻撃的な夜だ。手近にそれがなくてよかった。
あったらコトだ、一騒動持ち上がるに決まってる。
全てを論破したい、全てを読破したい。全てを書破したい。

「悪しき書籍に対する嘲笑は、ひとつのカタルシスである」と
エミール・ファゲは言った。

全てに当てはまるだろう。
「悪しき演劇に対する嘲笑は、ひとつのカタルシスである」
「悪しき演劇人に対する嘲笑は、ひとつのカタルシスである」
「悪しき脚本に対する嘲笑は、ひとつのカタルシスである」

方法論なき方法。

危うく演劇と取引するところだった。知らずにその取引に参加するところだった。
危うく脚本と取引するところだった。我知らずその闇市に、いた。
いや、我知らず、というのは、卑怯か。
多分、心のどこかでぼくが望んでいたのだろう。
思い出せ。
演劇をしている者が演劇を創ったためしがかつてあるか!
演劇を創った者は、演劇をしなかった者だけだ!

罠だ。芸術のげの字を口の端にのせた瞬間に訪れる罠だ。

ぼくは、演劇人だけど、演劇と取引することはしない。
ぼくは、劇作家だけど、脚本と取引することはしない。

演劇を創るために、演劇をしない、と固く自戒していた。今もしている。
ぼくはぼくの真似をしていないか。
ぼくは演劇に近付き過ぎてはいないか。
ぼくは言葉を信頼していないか。
ぼくはぼくを恣意的に捉えていないか。

演劇を創るために演劇をしない。
方法論なき方法。
演劇の未来なんか知ったこっちゃない。
芸術の未来なんか知ったことか。
大体、演劇に未来があるはずがない。芸術に未来があるはずがない。
そう思ってしまうことが、すでに罠だ。時間の罠だ。

演劇の社会における役割なんかあるか!
演劇が将来を担う人材の育成に役立つかなんか知るか!
そんなことを言い出すあなた方は、
もう二度と演劇をすることも、演劇を創ることもできない。
演劇という「言葉」のおこぼれに預かり、飯を食って寝るだけだ。
芸術という「言葉」に踊らされて、「演劇論」を偉そうにぶって拍手をもらうのが関の山だ。
人の言葉を換金し、ロレックスを買うのがせいぜいだ。
演劇人の地位向上、劇場の地域における主体性、知るか!
芸術家ぶってるんじゃない! 地位と名声に心も体も犯されたあなた方に、

二度と演劇を創ることはできない。これは、予言でもなんでもない。
ぼくからの最後のラブレターだ。
50年も演劇をしてきたから偉いのか。その50年で一本でも演劇を創ったか。パイプ氏。
演劇が世界を変えると思っているのか、東大氏。
演劇人の地位をどこに設定しているのか、ロレックス氏。

人間が創る演劇とは何か。
世界における演劇とは何か。
演劇人の生き様とは何か。

ぼくは、舞台の話をしてるんじゃない。作品の話をしてるんじゃない。

演劇の話をしてるんだ。
そんなことも分からなくなったのですか、あなた方は。
形而上も形而下も、誰もそんなことを言ってはいません。
難しい言葉を使えば話した気になるインテリ症候群。困ったちゃんたち。

さあ、読んだね。
このHPくらい、誰かに見せてもらえるでしょ。
秘書だの取り巻きがそんなにたくさんいるんだから。

これが答えですよ。

最後に少し上から。
ぼくは、君を嘲笑する。君たちの目を嘲笑する。その口舌を嘲笑する。

もう終わり。攻撃ロック、コーダ。フェルマータ、フィーネ。

原稿用紙を広げて。
月夜を満たして。

『世界教養全集34』

(522)
・「ファーブル昆虫記」著/J.H.ファーブル_訳/平岡昇
・「ラ・プラタの博物学者」著/W.H.ハドスン_訳/寿岳しづ
・「ビーグル号航海記」著/C.R.ダーウィン_訳/才野重雄
・「シートン動物記」著/E.T.シートン_訳/内山賢次

『世界教養全集 別巻4』編/大内兵衛

(511)
・「語録 永遠の言葉」

『福沢諭吉伝説』佐高信

(310)

『蒼白の馬上』見沢知廉

(157)