この一枚が何かを変えたんだ【TheMods『FIGHT OR FLIGHT』】

2008年9月29日 01:22:07

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一冊の本を探していたら、このアルバムが出てきた。
他にもたくさんのレコードが出てきた。

もう25年以上も前のアルバム。
このレコードを買った時の何もかもを覚えている。

そして、当時の何もかもが変わった。
上京を決めたのもこの一枚からの生活や心の変化があったからだ。
小さい頃からクラッシックギターを習っていた。発表会に出たりしていた。
毎週日曜日、ギターを抱え、先生のところに通った。
自宅での練習も好きだった。欠かさず練習していた。

中学に上がり、ラジオを聴くようになった。
どの番組だったか、パンク特集を聴いた。衝撃の音楽たち。
何を歌っているのか分からなくても伝わってくるエネルギー。
クラッシックに浸かっていた自分には理解不能のエネルギーだった。

パンクを知った。ハードロックを、ビートルズを、へヴィメタルを知った。
日本のロックにも興味を持った。
地理的に近いところの博多の音楽シーンが好きだった。
「めんたいビート」と呼ばれていた。
ケラ率いる「有頂天」も好きだった。
そんなバンドのカセットを雑誌の通販で買ったりもした。
読者同士の販売。今思うと相当ぼられていただろう。

ライブを録音したものが、5000円とかで売られていた。
地方では手に入らないバンドのカセットが3000円とかだった。
届いたカセットテープには、500円とか書かれているのに。
それでも聴きたくて、集めた。

そして、このアルバムと出会った。

自分もバンドを始めた。
一人で始めた。新聞配達をしてエレキギターを買った。
グレコのテレキャスター。
エレキギター教本を見ながら練習した。
新聞配達をして、アンプを買った。

アンプを通した歪んだエレキの音。
この音だ。憧れた彼らの音。
同級生を説得して周り、バンドを組んだ。
一から作った。どこで練習しても苦情が来た。
苦情が来るたびに、リヤカーにドラムやアンプを積んで、次の場所に移動した。
小さな田舎町。どこでも苦情が来た。
最後にはかなり山の中の友人の家の納屋を借りた。

数曲のレパートリーができて、ライブをしたりした。

懐かしい中学時代。

このアルバム。一曲目のインパクト。
そして、B面の一曲目「TwoPunks」。
今でも歌う。MODSのライブに行くと同年代の人たちが大声で合唱する曲。
それは、ノスタルジではない。歌われ続ける理由があるんだ。
その歌詞。

歌うことを「いつまで続けるの?」と突きつけてくる。


01. 不良少年の詩(SONG FOR JOHN SIMON RICHIE AND US)
02. WATCH YOUR STEP
03. 崩れ落ちる前に
04. HEY! GIRL
05. が・ま・ん・す・る・ん・だ
06. TWO PUNKS
07. NO REACTION
08. くよくよしたって
09. ONE MORE TRY
10. TOMORROW NEVER COMES(WARNING FOR KIDS)

音楽のために上京し、今はこうして演劇に携わっている。

「いつまで続けるの?」とMODSが聞いてくる。
「そんなこと俺にもわかりゃしねーよ」と歌う。
「でももう列車には乗り遅れた」

懐かしいアルバムが出てきた。
でも、レコードプレイヤーを繋いでいない。
すぐに聴ける状態ではない。いつレコードプレイヤーを外してしまったのか。
それも覚えていない。

探していた本は見つからず、のこのこと書店に歩いた。