昔から夜が好きだった
2008年11月21日 22:11:09
夜しか泳げない魚は
影をつれて歩かない
だけど
光だけが光じゃないことだけは誰よりも知ってる
SIONの声が聞こえる。
それにしても次の公演のことしか考えていない。
食べなくてもいい体になってきた。これはラッキーだ。
いいことだ。進化した。
一日一回か二回、少量の炭水化物をとれば元気でいられる気がしている。
短い睡眠或いは長時間の気絶で覚醒の20時間を考え続ける。
いいことだ。これも進化だ。
いい体になってきている気がする。
或いは、気がしているだけか。
作品のことばかり。
考えることはそれだけだ。
全部のシーンを同時に見ていられる楽しい脳みそ。
オープニングからラストまで、
いろんな場面が同時に進行している。
これもまた不思議な感覚だけれども、楽しい。
自分が書いた本だけれども、
作品を完成させるために言葉を捨て去ることに何の戸惑いもない。
躊躇もない。できるならば、ほとんど全ての言葉をカットしたいくらいだ。
書いたのは、28348文字。
完全な作品の完成は、28340をカットだ。
8文字で、この作品を伝えきることができれば、と考えている。
一日中、それを考えていた。
苦しみぬいて書いたラストシーン。
数ヶ月をかけて書いたこの脚本。
この舞台のために書きに書いて、この舞台のために消しに消す。
書き続けた数ヶ月は無駄だったのか。
消費した「月夜」という名のインクは無駄だったのか。
もちろんそんなことはない。
あの数ヶ月がなければ、言葉を消し去ることもできない。
明日の稽古が楽しみだ。
今日という一回性の夜。
劇団員は、それぞれの劇団員をしているだろう。
それを、思う。
みんなの顔を思い浮かべる。
誰かにメールしてみようかな、とも思う。
けれども、他者が劇団員の夜をメールなんかで邪魔していい理由はどこにもない。
この記事を書いたら、形而上で爪を切ろう。
この記事を書いたら、形而下で妄想を食べよう。
妄想を食べたら、劇団員を食べよう。
稽古前のアップをしている姿が好きだ。