インベカヲリさんの写真展を見て、写真がますます怖くなった

2008年12月20日 22:27:27

写真

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先日、新宿エルタワーで開催されていたインベカヲリさんの写真展を劇団員と見てきた。

『三木淳賞受賞作品展』だ。
奨励賞を受賞されたインベさんの作品を見られることにドキドキして、行った。
久しぶりに会うインベ女史は、変わらないインベカヲリを、インベ女史だった。
初めてお会いした新宿の店を思い出す。その夜、彼女のHPを見た。
彼女の作品を見た。見て、とても強く感じるものがあった。

『天皇ごっこ』の舞台写真を撮っていただいた。

インベさんに写真を撮ってもらいたい、と思い、彼女にそう言った。
言ったけれども、撮ってもらうことがとても怖い、そうも言った。
なぜ怖いのか、それがはっきりとわかった。

自分の本当の形を撮られるのが、やっぱり怖いんだ。
自分の本当の姿・・・。それを映像で見せられるのは、やっぱり怖い。
自分の本当を形で見せられるのは・・・

怖い。

こんなにおぞましい心の中を写される。
こんなにいやらしい細胞一つ一つが焼き付けられる。
ポンコツ頭の妄想が滲み出て映し出される。
そんなものを・・・外部から見せられることは、やっぱり、怖い。

彼女の作品を見てとてもそう思った。
彼女のシャッタは、人間の本能を写しだす。
彼女のレンズは、光よりも闇を透過させる。
彼女のカメラは、被写体自身が一番隠したいものをあきらかにさせる。
インベカヲリというレンズは、被写体の闇を映し出す。
インベカヲリという何十分の1かのシャッタ速度は、被写体の理性を突き抜ける。
インベカヲリという闇が被写体の闇とととに印画紙に焼き付けられる。

そんな自分を見てみたいとも思う。
だから、インベさんに言った。撮って欲しいと。
自分が被写体となり、彼女に写されたら、

一体どんな写真ができあがるのか。
隠し続けている悪事の一つ一つがそこに暴露されるのではないか。
目を背け続けているあの事ごとがはっきりと写し出されるのではないか。
一体どんなものがそこに写るのか。

懺悔や告白というレベルではない・・・

暴力装置だ。
被写体の無力に完全な無条件をもってインベカヲリさんが闇を写す。
そんな、暴力装置だ。

だから、怖い・・・

これほど完全な暴力装置が怖くないわけがない。
インベカヲリという闇に潜む、それ。