ある一つの稽古場論

2009年8月16日 22:06:49

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昨日に引き続き、野外での舞台稽古。
常陸舗道という会社の置き場を借りて、舞台装置を組み上げる。
日陰のない場所に太陽にさらされる舞台。
朝9時に集まり、全員で舞台を作る。

暑い。日差しが痛い。

常陸舗道のロッカールームを控え室にして、
稽古を始める。

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オープニングからあたっていく。
近所迷惑にならないよう、台詞は小さな声で。
自分が書いた言葉だし、ここ最近、毎日のように聞いている言葉だけど、

この光りに光る太陽の下では、あまりにも滑稽で笑ってしまう。
昼日中、太陽の下では言ってはならない単語が確かにあることを知った。

真っ暗闇の劇場でしか生きることができない言葉があることを
まざまざと知った。

休憩をはさみながら、稽古を続ける。
食欲のなさは続いている。
それでも意識ははっきりし、集中力をコントロールすることができる。

劇団員に与えられた少量の食べ物をゆっくりと食べる。

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友人の下地君が差し入れをくれた。
たくさんのお菓子と飲み物と。いつも沖縄のいろんなものをくれる彼だ。
常陸舗道に真っ白な車で乗りつけ、
「はい」と差し入れをおいて、ブーンと去っていった。

久しぶりに見た彼は、ほとんど坊主頭だった。

いつも劇団再生の舞台に協力をしていただく常陸舗道。
今回もこの会社がなければ舞台は完成しなかっただろう。
舞台製作の資材に、車に、稽古場所に、美術製作にと、
常陸舗道がなければ、困りに困って、別の手段を考えたかもしれない。
常陸舗道がなければ、今回の舞台は、このような理想的な形にはならなかっただろう。
断言できる。

ホースで水をまきながら、
水をかぶりながら稽古を進める。

午後5時、二日間の野外の稽古を撤収し、室内の稽古場に移動する。

普段は、ダンプカーがとまり、現場仕事に汗を流すこの会社も、
この二日間は、舞台の命が芽生えていた。
舞台装置をばらしていく。
それは、本番を終えたあの劇場独特の空気と、似ていた。
劇団再生のあるところ、そこが稽古場だ。

片付け、掃除をし、社長夫妻に挨拶をする。

どんなに偉そうなことを言っても、
こうして彼らが、あなたが、そこが、ここが、
百万人のあなたがいなければ、舞台はできない。
とくに、

劇団再生の舞台はそうだ。
彼らが、あなたが、そこが、ここが、百万人のあなたがなければ、
ぼくたちの舞台を、ぼくたちの舞台だと創ることはできない。

汗にぬれ、真っ赤に日焼けした顔で、意気揚々。
常陸舗道を後にした。

劇団再生のあるところ、そこが稽古場だ。