見沢さんのお墓参り。墓前でシェリーに再会し
2009年10月31日 03:49:08
いい天気だった。そりゃそうだ。
見沢さんのお墓参りはいつもいい天気。
もう2年半も毎月毎月いい天気。
降らない。理由なんかわからない。ただ、これまで降ったことがない。
お墓を磨く。
来月は、歯ブラシをもっていくか。細かい汚れが気になるようになった。
見沢さん、来月は公演ですよ。30分番組。「空の起源〜天皇ごっこ〜」
これが脚本です。凄いでしょ。見沢さんの言葉が、こんなになっちゃいました。
そう話しかけたとき、シェリーが頭を流れてきた。
俺は転がり続けて こんなところにたどりついた
俺は焦りすぎたのか むやみに何もかも捨てちまったけれど
夢を求めるならば 孤独すらおそれやしないよね
あわれみなど受けたくはない 俺は負け犬なんかじゃないから
見沢さん、と声をかける。
俺はうまく笑えているか
俺の笑顔は卑屈じゃないかい
俺は誤解されてはいないかい
俺はまだバカと呼ばれているか
俺はまだまだ恨まれているか
俺に愛される資格はあるか
俺は決して間違っていないか
俺は真実へと歩いてるかい
誤解? されてるかもしれない。
バカと呼ばれてる。恨まれてもいるんだろ。
資格か。あるわけがない。
正しいだの間違ってるだの、そんなことが全然わからなくなった。
見沢さん、どっちにしても、来月12日は約束の日。
また来月、と声をかけ、晴天に歩いた。
いつもの地下鉄の駅ではなく、JRの駅まで、少し長く歩いた。
発熱にシェリーを口ずさむ。人間に帰ろうとあがく。
発熱と眩暈に、悲しくて寂しくて侘しくて涙しか出ない、そんな肉体を知る。
何度も何度もシェリーはめぐり、帰りたい、と。
見沢さん、ぼくは間違っていませんか。
見沢さん、ぼくは恨まれていませんか。
見沢さん、ぼくはまっすぐに歩いていますか。
見沢さん、ぼくの言葉はどこかに届いていますか。
見沢さん、ぼくの目は何かを見ていますか。
見沢さん
苦しんで死なねばならない。楽に大往生なんかできるはずがない。
その助走をためらいなく告白するしか、手はないじゃないか。
シェリーが朝を連れてくる。