「銃口くわえ一人を詠う」十首

2010年6月22日 17:08:08

吾を重ね「シェリーひとりで生きるなら 孤独すら恐れはしないよね」

虚笑する白衣に苛立ち嘘をつく 痛くはなし眠れていますと

暗闇を手探り我が身を省みず 這いずる先に演劇ありや

目開きては見えざる舞台手探りで 独歩す我は盲目のスズメ

言葉降る月降る部屋に安堵せしも されど孤にして銃口くわえ

右向けど左向けども誰も居ず この身捨てるか爆弾と化し

静まりし廊下彷徨うメフィストと 目が合い黙契鏡の中で

メフィストに「ああ一人だ」と答えなば 言葉の淵に立つ我は一人

さよならだ 待ってられない 先に行く 時間がないんだ 一人でも行く

独歩すと宣言せしも目は見えず 手枷足枷縛るは何か