真夜中に『春夏秋冬』を歌いながら街を歩く。真夜中に『夜しか泳げない』を歌いながら街を歩く。
2010年6月28日 21:50:13
なんだかんだと忙しく、
あれやこれやと手を伸ばし、
疲労も過労もどこが基準か、
貧乏暇なし器用貧乏、
思いつくままやるべきことを付箋化し、
パソコン、机、ベッドサイドと、
ところ狭しとべたべた貼りつけ、
決定すれば剥がし、
解決すれば剥がし、と剥がしに剥がすも、
その枚数は変わることなく、
黄色い付箋が貼られ剥がされ、
そんなある日、赤ずきんを見た。
泣きながら街を走る赤ずきん。
幻視では、ない。
ぼくは、街を歩く。
ある時は一人で、またあるときは〈全員〉で。
ぼくは、夜を歩く。
そのほとんどは一人で。
でも、ある日、〈言葉〉の手をひき夜を歩いた。
交差点にさしかかる。
信号は赤、だ。
たった4mの道幅。
真夜中だ。
車は来ない。
歩き渡っても数秒だ。
そんな真夜中に歩行者が信号を無視したからと、
目くじら立てる気配もない。
けれども、ぼくは〈言葉〉の手をひきおとなしく、
信号が変わるのを待つ。
青に変わるとき、赤ずきんを見た。
幻視では、ない。
真っ赤な服に身を包み、小さな鞄を抱えて走りゆく赤ずきん。
使命を帯びて。
ぼくは、真夜中の街に歌を歌う。
〈言葉〉は、真夜中の小雨に歌を歌う。
季節のない街にうまれ
風のない丘に育ち
夢のない家を出て
愛のない人に会う
夜しか泳げない魚は
影をつれて歩かない
だけど
光だけが光じゃないことだけは
太陽より知ってる
赤ずきんは疾走する。
ぼくは、歌う。
次の次の次の次の日曜日 言葉と心中す
言葉からそっと意味がこぼれ落ち 朝いつ知れず故郷失う
夜が剥がれていく なるほど一人か
煙草寂しマッチを擦りし眺むれば 火は燃えながら自ら死にゆく