『第四間氷期』安部公房

2006年10月24日 22:15:02

写真

雨が降る日は、池波を。

と言い続け、
ようやく世間に浸透してきて、今日は、雨。

コトバは、来るべき冬に向け、
体に脂肪を蓄えるべく食欲旺盛。
体重は、240g±7g。
まあ、平均でしょう。

東京は、冷たい雨。
先日購入したお気に入りの傘をさして、
ぶらぶらと散歩。

雨の日には、池波を。

と言いつつ、今日ひもといた本は、

『第四間氷期』
安部公房

最初に断言します。
この小説は、100年を、1000年を生き抜く小説です。
読まれた方は、同意されると思いますが、

これほどの印象、
これほどの後味の悪さ、
これほどの未来への諦念、そして、絶望と再生。

安部作品のなかでも、素晴らしさ上位に位置付けされる作品です。

「現在にとって未来とは何か?
文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か?
万能の電子頭脳に
平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して
事態は急転直下、
つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、
やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった…。
薔薇色の未来を盲信して
現在に安住しているものを痛烈に告発し、
衝撃へと投げやる異色のSF長編。」

昭和33年ですよ!
今から50年も前の作品なんです。
驚嘆、驚異。
想像力とは、かくも残酷な世界を生み出すことができるのか。
人間は、これほどの想像力に耐えうる勇気をもてるのか。
安部公房は、その想像力の果ての恐怖と、
しっか、と向き合い、打ち勝ったのです。

新潮社は以前、
この作品に対して、
「ようやく時代が作品に追いついた」
と評した。

いや・・・・

まだ、全然追いついていない・・・
時代は、まだこの作品の影しか見えていない。

時代が、

この作品に追いつくということが、
あるのだろうか。