劇場入りした
2010年11月12日 02:37:12
久しぶりの劇場だ。
仕込み日は2日間。これも久しぶりだ。
ここ数年、会場に入った翌日には本番だった。
ライブハウスの公演では、のり打ちだ。
2日間の準備期間。
どうも感覚が違う。明日が本番の気がして仕方ない。
だからだろう。
どこかで時間に追われている感覚が抜けない。
一日かけて舞台美術を組み上げる。
一年前には考えていた舞台美術だ。
それが目の前に組みあがっていく。
たくさんの協力を得て、組みあがっていく。
資材の提供を受け、時間の提供を受け、アイデアの提供を受け、
今日一日快く惜しみなく力を貸してくれた人たち。
彼らがいなければ、この舞台は組みあがらなかっただろう。
ぼくの思い付きを、ぼくたちの画を創ってくれる人たち。
言葉にはならない感謝の意をどう伝えたらいいのか。
(作品を創れ)
と声が聞こえた。それが、ぼくたちの罪であり、罰の受胎だ。
思い描いた美術が組みあがった。
にしても、なんだ、この時間は。もう27時。
コトバの奴は眠たい顔をして置物のようになっている。
俺の方が眠いんだ。
少しでも眠りたいんだ。
なんだなんだその顔は。
明日は仕込み二日目。
組みあがった舞台を使っての場当たり。
場面ごとに芝居を創っていく。
照明を創り、音響を創り、俳優の動きを創り、
テクニカルリハーサルを繰り返す。
丸一日かけて、全場面をあたっていく。
経験から、恐るべき疲労が予想される。
目の前には眠そうなコトバ。
そんなに眠いなら寝たらいいだろう。
もう少し俺に付き合うか?
明日の準備だ。
脚本を読み直す時間だけ待ってろ。
かばんから脚本を取り出す。
ここに全てが書かれている。
疲れたときは、考え疲れたときは、脚本に戻る。
脚本に全てが書かれている。
コトバ、脚本を読み直す時間だ。
待ってるのか?
そんな顔で待ってるか。
いいだろう。
あともう少しだ。