じっと窓の外を見ている
2011年2月1日 22:47:45
何もない誰もいないと呟きて ピアノを弾きし男は泣いた
コトバが窓の外を見ている。
いつまでもいつまでも見ている。
乾燥した東京の空を見ている。流れる雲を丸い目で追っている。
コトバ、と声をかけると、何? と振り向く。
振り向けばあの日見た空通り過ぎ 我は一人かこの道に立ち
なるほど、お前も空を飛びたいか。
知ってるだろうけど、ぼくもだ。
一緒に飛ぶか? とコトバに声をかけると、
飛ぶにしたら狭すぎる空だ、とコトバが答えた。
わけもなく空を飛びたき少年は 八階の窓の低きを悲しむ
そんな少年を知ってるんだ、とコトバに話しかける。
コトバは、空を見続けている。
八階の空が低くて、何階の空なら高いんだ。
高い空がいいってもんじゃない、とコトバが啼いた。