こつこつと脚本を書く
2011年3月18日 23:40:20
原稿用紙をまとめて仕入れた。
インクを一瓶買ってきた。
万年筆は、何か月もかかって選んだ一本。
パイロットのカスタム845。
先代のウォーターマンは、12年使った。
ペン先が調整不能ぎりぎりまで使った。
いいペンだった。
845は二代目。
選択肢はいくつもあった。
最終的に、パイロット845とモンブラン149に悩んだ。
何度も店に足を運び、何度も試し書きをさせてもらった。
甲乙付け難し。
結局、持った時のわずかなバランスの差でカスタム845に決めた。
重心の位置のほんのわずかな差だ。
もう2年以上になった。
何文字書いたかは、わからない。
完全にこの手になじんだか、というと、そうも言い切れない。
気に入ってる。
ペン先もぼくの角度になりつつある。
毎日こつこつと脚本を書いている。
先日仕上げた一本は充実した作品になった。
そして今書いているこれもそうだ。
情念が濃縮されている。
上演のあてはないが、だから素直に書けているのかもしれない。
登場人物が何人だの、
劇場はどこだの、
季節はいつだの、
出演する役者は誰だの、
男が何人で女が何人だの、
スタッフは誰だの、
そんな具体的な制約が一切ない脚本。
そんな書き方をするのは本当に久しぶりだ。
いつも、そんな制約に縛られてきた。
その制約の中であがいてきた。
言葉が自由だ。