一本の映画を観ながら
2011年8月10日 23:17:48
その映画はぼくに語り続けてきた。
「お前は、間違ってはいない」
最初から最後まで語り続けていた。
「高木、お前は間違ってない」
映画という表現に嫉妬しながらぼくは、ここにいる。
その一本の映画に引き込まれながら、ここに踏みとどまる。
いつか映画を撮りたい。そう思いながら、くそったれめ、
「高木、お前は、『演劇だ』と胸を張って言えるものを創ったのか」
その映画がぼくに語りかける。
「お前は、間違ってはいない」
一本の映画を観ながら、真夜中一人、ここにいる。
煙草の煙はまっすぐに空に立ち上る。
一本の映画を観ながら、一人、ここに踏みとどまる。