ぼちぼちと次の公演に向けて体を作るのです
2011年11月3日 22:52:16
いつからこんな体力勝負になったのか。
長い間演劇の世界に身を置き、その過酷さを潜り抜けてきた。
演劇という世界の中で最初に身を置いたのは、音響という仕事だ。
最初は、上演本番での音響操作だけだった。
それでも、本気で逃げようと思うくらいの緊張が体をめぐった。
失敗は許されない、と劇場入りしてからも毎日、
音響システムを自宅に持ち帰り、
台詞を言いながら、二時間の舞台を再現し練習していた。
20代は、音響操作に明け暮れた。
そのうち、選曲を任されたり、作曲を任されたりするようになった。
選曲は選曲で、今から思えば信じられないほどの時間をかけた。
20曲を選ぶのに1000曲近い曲を聴いた。
インターネットなどない時代だ。手軽なレンタルショップもなかった。
CDとレコードが半々くらいだった。
図書館で借りられればラッキーだった。
大半は、買い揃えた。数千円をはたき一枚のレコードを買っても
それが使えなければそれまでだ。
ビデオから曲を起こしたり、効果音を取り出したり、
そういえば、効果音は全て自分で作っていた。
街に出て録音していた。
作曲は作曲でそれ以上の時間と労力がかかる。
なんにせよ、体力が全てだった。倒れたらそれで終わりだ。
そんな時間をもう30年近くも過ごしてきた。
20代30代は、なんなく潜り抜けてきた気がする。それがどうだ。
40の声を聞いた途端、がくり、と音をたててどっかの支えが折れた。
ぽきり
こんなに体力がなかったのか、と思うほど、体が効かん。
40代なんてそんなもんじゃないだろう、と思うも、めっきりと落ちた。
体力勝負だ。また公演が始まる。
あの時間をくぐるために今から準備だ。
体を作る。
そこから入らなければ公演一つできないことも情けないが、仕方ない。
どこまで厳しく自分を戒められるか。
ストイックなんて生易しい言葉じゃ乗り切ることもおぼつかない。
戒と律。それもまんざら嫌いじゃない自分がいることも知っている。
ぼちぼち、やるか。