いかん! 熱が出てきたか
2011年11月26日 23:27:53
いかん! と思ったけれども、
実はそうではないのかも、と考えた。
「発熱」を「自己治癒能力」の一つととらえると、
いかん! ではなく、良し! なんだろうな。
とはいえ、だ。普段よりも高い熱が出ている、という現象は、不快だ。
精神的に、というよりも、やはり肉体的な不快を感じる。
だるい、重い、かったるい、つらい、言葉にすればそんなんだろうけれども、
やっぱり、「熱がある」という一言か。
発熱し、それがなんらかの肉体的治癒、或いは生理的肉体的防衛作用だとするならば、
この現象に甘んじるが、さて本とはどうなんだ?
ベッドにもぐりこみ本を開く。
とてもじゃないが、思想書や哲学書なんかを読む肉体的余裕はない。
いきおい軽い小説を開くことになる。
読んでいるのは、「黒豹シリーズ」だ。黒木豹介だ。高浜沙霧だ。
こんなかっこいい男はおらん! と突っ込みながらも引き込まれる。
こんないい女なんか絶対おらん! と思いながらも、その姿態を思い浮かべる。
いかん! 或いは、良し! と熱が出て、ベッドでごろごろ本を読み、
さてこのまま眠れば世界はどうなるのか、と考える。
ぼくが眠れば、世界は失われるはずだ。論理的帰結。
そして、仮に目覚めたとしたら!
それは、世界の目覚めを意味するのだろうか。
黒豹が、ロシア・アメリカ・ドイツ・イタリア・日本と世界中を飛び回り、
「敵」と戦いながら、己を律し続ける姿は、もちろん「世界」ではない。
世界、は、ぼくの目覚めなんだ。
と、なんだかんだと考えながら、どの思いつきもものにならんな、と切り捨てる。
世界の事なんか知ったことか! 本読む手を休め、脈を計る。
なるほど、まだ熱はあるようだ。前に薬を飲んだのは何時だったか。
まあいいや。
誰かに手紙でも書いてみようか。
また戻ってくるかもしれないけれども古い友人に書いてみようか。
それとも、見ず知らずの友人に初めての手紙を書こうか、
まだ見ぬ他人へ書いてみようか。
知らず、舌打ちが出る。
いかんかろうが、良かろうが、発熱は発熱。
横になるか。