藤田嗣治の猫

2012年4月11日 23:23:22

藤田嗣治を観に行った。

会期は短い。
日を合わせられるか微妙だなと思っていたが
どうしても観たくて、時間をこじ開けた。

藤田の「猫」たちが観たかった。

会場には、「猫」が数点かけてあった。

知っている作品だ。

藤田の「猫」

やっばりいい金額だな、さすがに手は出ない。
そんなことを思い観て回っていると

一枚の素描が目に入った。

猫だ

親子だろう。
母猫に子猫が二匹。

藤田の肉筆だ。
説明を聞いたら確かに確かな一枚だ。

藤田嗣治の奥方の遺品らしい。
初見。

なんとも言えない豊かな情愛に満ち充ちている。
なんという画だ。
あらあらしいタッチの中の正確な繊細。
戦慄すべき旋律がその素描を流れている。

音楽だ。唄だ。声が聞こえる。藤田の声だろうか、奥方の声だろうか。
それとも、猫の声だろうか。

なんという豊かさ。
なんという旋律。

欲しいと思った猫は、これが二枚目だ。

「猫」を観た。

(その猫の肉筆は、本記事のサムネイル画像の猫ではない)