小池重明の命日

2012年5月1日 20:26:12



小池重明という人を知ったのは、彼の死後だった。
団鬼六氏の著書だった。
ぼくは、多分20代の後半だった。

読んで、しびれた。惹かれた。「こんな風に、」とも、確かに思った。
「新宿の殺し屋」とか、「プロ殺し」とか、「最後の真剣師」などと呼ばれたようだ。
ろくでなしだ。

「あんな風に、」生きてみたい、確かにそう思った。
今でも、心のどこかで惹かれ、しびれ、そう感じる。
天才なんだろうな、と思う。

小池重明の命日。
もう十数年前だろうか、団鬼六氏の本を読み、墓前を訪れた。
久しぶりに今日も、と思いながら、なぜか足が向かなかった。

命日に墓参りなんてしたら、小池重明に笑われる、なんか、そんな感じなんだ。
なんでもない日にぶらぶら行ってみようか。
彼の人生にしびれ、惹かれた。けれども、実際そんなんなら、今頃ぼくも死んでるだろう。

享年44歳。
ちょうど今のぼくと同じ年。

憧れはするが、ぼくは、安定がほしいんだ。
穏やかな毎日がほしいんだ。静かに考えていたいんだ。
体はそう叫んでいるが、心が、びりびりとしびれる何かを求めていたり。

男はみんな好きなんだ。こんなんが。彼みたいなんが。あの人生が。
そうじゃなきゃ男じゃないんだ。