今日と言うたった一日

2012年5月6日 20:47:18

『憂国』を読む

三島由紀夫烈士の墓参りをする

嫌なことをする

雨の中に立ってみる(傘をささずに)

煙草の煙を目で追ってみる

コトバと仲良くする

お気に入りの四色ボールペンを手のひらにのせる

お気に入りの万年筆で世界地図を書く

お気に入りの遠近両用眼鏡でその地図を眺める

バカどもと同じ土俵に乗るべきか考える

体は治らない

北一輝、と呟いてみる

温泉旅行の計画、と書いてみる

コーヒーにミルクをいれる

体重を計る

疲れる

休む

言葉がどこかに届くかもしれないという何十年も抱き続けてきた幻想を捨てる

着物を友達にあげる

蛍を見る

飢餓海峡を歌う

この体がびっくりすることをする

そんなことを今日、全部、いつも、全部、しようとする

ぼくたちはぼくたちの一日でいったいどれだけのことができるのだろうか
恐るべき一日、というものがある

一日

一日

今日の一日

先日は高橋和巳の命日
39年の生涯
恐るべき文学を遺した彼の人生39年

先日は池波正太郎の命日
誰もかれも死んでいく

先日は赤報隊事件から25年
時間がていねいに過ぎていく
一日という時間が過ぎていく

夜という夜に名前を呼び続けるこれこそが言葉や

手を握る二人のこれこそが官能や

そんな一日があってもいいじゃないか

感傷だと言われても

そんな一日があってもいいじゃないか