開演時間という謎
2012年5月13日 23:23:43
相変わらず一人でギャーギャーやってるのだが、
さて、演劇をもう何十年もやっていると、
知人に、「演劇関係」者、がたくさんいる。
「演劇関係」と、
冠が付くだけで、「友人」と言い得ない謎が昔からあるのだが、
それはさておき、
その知人らにぼちぼちと話をしてみると、
どうやら、やっぱり、あちこち、そちこちで、案の定、
開演時間は、守られていないらしい。
「あの劇団は、絶対に開演時間に始まるよ!」という言は、
これまで、一度もなかった。
そして、今思い出したので極め付けを。
案内チラシに、
「(〜)なので、開演時間を過ぎたら入場できないこともあります」
と注意書きがあった。
(〜)部分は、どうやらその企画の主旨らしい。
それを見て、なるほど、開演時間までに入場しろ、ということだな、
と、ぼくは、解釈した。
きっちりと開演時間に始まるんだな、とぼくは思った。
そりゃそうだ。
開演時間を過ぎて会場に行ったら、入場できないかも、と書いてあるんだ。
ぼくは、もちろん、ちゃんと行った。時間通りに客席についた。
開演時間だ!
誰かが出てきた。名乗らない。誰だろう?
受付辺りでうろうろしているのは見かけが、誰だかわからない人が、
「開演時間となりましたが、もうしばらくお待ちください」と言った。
名乗りもせず、明確な理由を説明もせず、観客の同意も得ず、だ。
どういうことだ。
あのチラシの文言は一体なんなんだ。
観客をバカにするにもほどがある。
そんな作品には、何の価値もない。見るに値しない。
約束を守って入場した観客をなんだと思っているのか。
誰だか知らないそれを告げた人の顔に申し訳の表情一つなかった。
劇場も劇場だ。
約束を守らない集団・作品・個人には、貸し出しをやめるべきだ。
劇場も愚弄されているのだ。バカにされているのだ。
危機感なき演劇。
観客あってこその演劇ではないのか。
お客様のチケット収入で作品を創らせてもらってきたのではないのか。
その観客との約束を守れないとはどういうことだ。
そこに危機感を感じないのか。
演劇は、もう終わりだ。
その危機感を感じず、約束を守らず、自己満足だけで、
口だけが達者な協会だの先人だのの作品をありがたがり、
作品が、作品が、作品が、芸術が、芸術がとマスターベーション。
ぼくは、そんな作品を認めない。
百万人を相手にしても、認めない。
開演時間を守らない。それだけで、認めない。
高木君、そんなに堅苦しく考えなくても、と声も聞こえるが。
危機感なき演劇。
演劇は、もう終わる。終わりだ。
こうして書いているだけで、苛立つ面々の顔が思い出され、
心が乱れる。
ぼくが、
演劇、という単語を使わなくなったのも、それが理由だ。
演劇は、もう終わる。
演劇は、死に絶える。