詠い

2012年6月10日 20:43:22

生きるため時代を撃てと書き紡ぐ インクの少女に爆弾抱かせ

寝汗かき手にしたままの安部公房 全てを君に書こうと明け方

己が闇机の上の荒野に立ち 一言を抱く「世界は変わる」と

ここに来い! 凍てつく空、もっと高く! 俺だけの本 かよわき手をひく

香の記憶白衣の音に怯えつつ そっと右手を握りしめ握る

未分化の幼き体に隠し持つ 腹腹時計、母との惜別

病床でいかに死ぬかと空見れば 九月に死んだ君は答えず

望めどもアイスクリームに足はなし 点滴引き摺りとぼとぼ買いゆく