喉が渇いてんだ。腹がへってんだ。もっと喰いたいんだ。お前らを喰いたいんだ。君を喰いたいんだ。世界を喰いたいんだ。
2012年8月20日 02:51:12
くそっ
劇場にいる時には喉の渇きは癒えていたのに、
舞台に触れている時には空腹は感じなかったのに、
ありがとうございました
お疲れ様
ありがとう
一歩劇場を出た瞬間、
喉を掻きむしりたくなるほどの飢餓感
喉が渇き、腹はへり、何でもいいから、この手に
血でもいい
生肉でもいい
もっと喰いたいんだ。もっと飲みたいんだ。
世界がここに来ないなら
こっちからそこに行く
毎日研いでる爪をたてに
毎日研いでる言葉をたてに
くそっ
何かないか
喉が渇いた、腹がへった
3本の作品が頭を走査する
次から次に画がフラッシュする
可能だの不可能だの、そんなことは知ったこっちゃない
やると決めたら何もかもやるんだ
そうしなきゃこのまま餓死してしまう
真夜中2時
舞台の全日程を終えて、帰宅した
きっと肉体はぼろぼろなんだろう
そうなんだろうが、画が、走る
原稿用紙を取り出し、三つの作品の断片を描きだしていく
美術をスケッチしていく
原稿用紙5枚に描きだされた言葉と画
ちくしょう
もう出来ちまった
こんな簡単なことなのか
こんな簡単なことなのか
戦闘態勢が解けない
喉が渇いてんだ
腹がへってんだ
お前らをもっと喰いたいんだ、喰いつくしたいんだ
君を喰いたいんだ、骨までしゃぶりたいんだ
世界を喰いたいんだ
いつだったか、以前発表した『正義の人びと』
そこに出演した10の俳優と言う言葉は、
『正義』という言葉と真摯に向き合っただろう
今、彼らはきっと『正義』という語の『次の言葉』を手に入れたはずだ。
もしまた作品の中で出会えるとしたら、
その時には、
懐かしい昔話のように『五次元』の話題で盛り上がることができるだろう。
彼らの見た五次元とぼくの見た五次元
それを、笑いながら話せるだろう
そして、高次の方程式を設問するだろう
それはなんて楽しい瞬間だろうか
『正義の人びと』という作品
何度も口にした「ありがとうございました」
今も奥底から「ありがとうございました」
その「ありがとうございました」に続ける言葉は、いつも飲み込んできた。
「ぼくは、今も考えています」
「ぼくは、考え続けています」
「ありがとうございました」はいつも通過点
ぼくは、通過点に「ありがとうございました」の旗を立てる
喉が渇く
腹がへる