コトバがしょんぼり
2013年8月14日 00:31:04
朝から「梟屋」さんに出かけた
コトバの爪切りやくちばしの手入れだ
搬送用のかごを出してくるとコトバが警戒して睨み付ける
よしよし、となんでもない風を装い近づくがコトバは逃げ回る
わかっているのだ
「あのかごに入れられたら最後
遠いところに連れて行かれて
タオルでくるまれて爪を切られたりくちばしを切られたりするんだ」
わかっているから逃げ回る逃げ回る
餌でつっても知らんぷり
ならばと力ずく
えいっと羽ごと捕まえる
ぎゃーぎゃーと泣きわめくこと甚だしい
コトバさん、あんたのためなの!とかごに入れる
さあ行くかと、電車に揺られる
これまでは二回乗り換えがあったのに
何がどう変わったのか電車はどんどん進み乗り換えは一回ですんだ
大きなかごがあるので遠慮して立っていたら
前に座っていた婦人が「犬ですか」と声をかけてきた
「違いますよ」
「じゃあ、ねこちゃんね」
「違います」
この時点で面倒になっているのだ
(犬でも猫でもなんでもいいじゃねぇか
こっちは作品の事で頭がいっぱいなんだ
はなしかけんじゃねぇ)
と思っていたところ、コトバが「ほー」と自己紹介・・・
ご婦人きょとんと「鳥?」
仕方なく「フクロウですよ」と明かす
興味津々の目・・・
ご婦人は、その隣の女子高生(?)に「フクロウですって」と話をふる
ご婦人の目が「見たい見たい」と言っている
ちくしょー負けるもんか、ぜってー見せねぇー
「フクロウですって! さっき、ほーって聞こえましたね」
「フクロウですって! フクロウって飼えるのかしら」
やめなさい
ちらっと見せた
「まぁかわいい」声がでかい!
「フクロウですって」声がでかい!
「かわいいですねー」声がでかい!
声、でかいって!
「お名前は?」
「まだないんです」
「フクロウだから、ふーちゃんね」
勝手に名前をつけない!
もー、と思っていたら乗り換え駅。
「ふーちゃん、ばいばい」
・・・・・・
乗り換えて、川崎で降りて、バスに乗って、梟屋さん
店主を見て、コトバがかごの中で逃げ回る逃げ回る!
まただ!
やっぱりここだ!
たすけてー
そんなコトバを笑いながら捕まえてタオルでくるむ店主
爪を切り、くちばしを整え、コトバはぎゃーぎゃー大騒ぎ
帰宅すると、コトバはしょんぼり
長旅に疲れたコトバは、かごの中から歩いて出てきた
とことこと歩き、一息ついて飛び立った