ラスコルニコフと月の謎かけ
2014年6月28日 00:57:11
『<こうしずかなのは月のせいだな>
ふとラスコーリニコフは思った。
<月は、きっと、いま謎をかけているんだ>』
『おれは人間を殺したんじゃない、主義を殺したんだ!
主義だけは殺した、がしかし、かんじんのふみこえることはできないで、
こちら側にのこった……おれができたのは、殺すことだけだ。
しかも、結局は、それさえできなかったわけだ……主義はどうなるのだ?』
『だいたい新しい思想をもった人間はもちろん、
何か新しいことを発言する能力をほんのちょっぴりでももっている人間でさえ、
ごくまれにしか生れませんよ、不思議なほど少ないんです。』
ラスコルニコフに出会ってもう35年
この35年の間に何度も何度も『罪と罰』を読んできた
読むたびに分かった気がするしわからない気もする
分かったともわからないとも言えないし
分かったと言えるしわからないとも言える
『罪と罰』、ドストエフスキーが45歳の時に書いた作品だ
ぼくが45歳の時、『罪の罰』を読んで、きっとわかるはずだ、と思った
思ったが、なんとも言えない
ドストエフスキーと同じ年齢だったのに
ぼくは、そのわからなさを「宗教」のせいにした覚えがある
二年前の思い出だ
真夜中、ラスコルニコフと月が謎をかけている