ろくでなし
2009年5月4日 22:43:17
先日、久しぶりに彼にあった。
どのくらいぶりに会っただろう。
「やあ」と言って躊躇いなく会える期間を超えるほど久しぶりだった。
公演の案内は送っていたんだ。
それが戻ってこないとこをみるとまだ同じところに住んでるんだな、
と思っていたら、先日、電話があった。
彼に会ったのは、15年以上も前だ。
音楽家ミッキーの紹介だった。めちゃくちゃな毎日を過ごしていた頃だ。
下北沢をホームにし、年間何百曲も平気で作曲していた頃だ。
ミッキーと笑いながら40時間を録音し続けたり、
笑いながら40時間を眠り続けたり、
法を笑い飛ばし、罪を笑い飛ばし、罰を知らずに下北沢を歌っていた。
彼に会ったのはそんな頃だ。
「ミッキーさぁ、またバカな人を連れてきたな」
彼は、そう言った。
都心に近い京王線の駅で降り、電話をする。
「じゃあ、甲州街道を・・・交番があるから・・・
・・・そしたら、銀行があって・・・そこからまた電話して」
どこに連れて行くつもりだよ。そう思いながら、
こんなやり取りも久しぶりだな、と思う。
「そこに煙草とジュースの自販機があるでしょ・・・・
右に曲がって・・・突き当りを・・・今度は一つ目の角を・・・」
非合法な取引かと楽しくなってくる。
久しぶりに彼に会った。
玄関を開けると、彼が居た。数年の空白は、なかった。
「やあ」と昨夜一緒に遊んだ気楽さで、そう言った。
そこは、彼の秘密基地だった。
近況を報告しあう。
報告しあいながら、以前と何も変わらないそれぞれの判断に笑ってしまう。
「いくつになったんだっけ?」
「45」
「へー、45にもなって(書けない・・・)、そりゃろくでなしにもほどがある」
「高木さんはどうなの?」
「去年から(書けないが)で、最近さあ(書けないが)で」
「ろくでなしの師匠だよ。高木さんがいて安心するよ」
いろいろ書き始めたけれども、書けない事が多すぎる。
久しぶりに彼と会った。
何もかも包み隠すことなく話せる友人。
時間を飛び越えて短縮してくれる友人。
バカみたいに笑い、法や罪や罰や社会や世間やモラルや「あなた」へのボーダーラインが
ほぼ0位置に引かれている友人。
何もかも話した。話しながら考える。今ここに確かに流れている共通の認識は何だろう。
同時に彼も同じことを考えていた。
そして、口にした。恥ずかしげもなく口にした。
お互い十代に体験し、そこで培われた感覚だ。
それにしても書けない事が多すぎる。
一番盛り上がった話題は、達磨だった。
「やっぱ、達磨はいいね」
「うん、達磨はいいよ」
久しぶりに彼と会い、次の再会を約し、駅で別れた。
何もかも話し、笑顔という笑顔を笑い、彼の顔に裏打ちされた強さを見、
本物のろくでなしの生き様を見、駅で別れた。
「高木さん、達磨ね!」
暗号のような言葉を改札で交わし。